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フィリピン 医療案内

1.疾病構造

 

1996年の統計では、フィリピンの人口は約6,995万人で、首都マニラの人口は約962万人です。フィリピンと日本の人口動態を比較すると、出生率と死亡率は共にフィリピンの方が高く、出生率は日本の3倍、死亡率は2.5倍で、特に乳児死亡率は日本の10倍以上です。フィリピンでは首都圏よりも地方において出生率が高く、家族計画と避妊指導の遅れが指摘されています。避妊の方法別で見ると、女性避妊手術、経口避妊薬、荻野法など女性主体の避妊方法が優勢であるのに対して、日本では主流となっている男性避妊具の使用率は極めて低いのが現状です。また妊産婦死亡率は日本と比較にならない程高い値を示しています。

 フィリピンにおいては主要疾患の上位は下痢、肺炎、気管支炎、結核などの感染症で占められ、日本では比較的稀なマラリアやデング熱の患者も多く発生しています。死因では心疾患による死亡者が増加しています。

 

2.感染症事情

 

(1)連絡体制の整備

(1)AIDSその他の性感染症

 フィリピンには1998年の時点で2万9千人ものHIVAIDSウィルス)感染者が存在すると推定され、感染者数は今後も増加を続けるであろうと考えられます。フィリピンにおけるHIVの主な感染経路は性行為感染です。フィリピンでは売春行為は違法ですが、売春婦の性感染症有病率は40%以上と高く、コンドームを使用しない性交渉率は、売春婦や血管内薬物濫用者などでは9296%と高値です。


(2)デング熱

 フィリピンでは1998年に例年を大幅に上回る3万人余りのデング熱患者が発生し、死亡者数は440人に上りました。デング熱患者は毎年6~10月の雨期に増加する傾向があります。デングウィルスはネッタイシマカなどの蚊によって媒介され、出血熱をきたすと致命的な場合もあるので、蚊に刺されないように努力する必要があります。


(3)マラリア

 フィリピンのマラリア患者発生数は年間4万人~10万人に上ります。患者から検出されたマラリア原虫の内訳は、最も悪性で、放置すれば死に至ることもある熱帯熱マラリア原虫が70%以上と多く、当国南西部のパラワン島は、薬剤耐性熱帯熱マラリア原虫が分布していることで有名です。またその他の島々にもマラリア原虫は分布しているので、流行地に行く場合は、媒介蚊であるハマダラカに刺されないように努力するとともに、必要に応じて予防薬を服用することも考慮に入れて下さい。


(4)狂犬病

 フィリピンにおける狂犬病患者の死亡者数は、年間平均450人で、患者発生件数は常に世界上位5ヶ国に入っています。また、国内には約7百万頭の犬がいると推定されていますが、これらの予防接種は極めて不十分な状態です。


(5)腸チフスやその他の経口感染症

 フィリピンでは一年を通じて、腸チフス、赤痢アメーバ、細菌性赤痢をはじめとする重篤な経口感染症のリスクがあるので、生水や氷の飲用を可能な限り避け、食材は十分加熱処理することが求められます。特に雨期にはこれらの水系伝染病の患者は増加する傾向があるので、食生活には一層の注意が必要です。

雨期の洪水



(6)ウィルス性肝炎などの血液感染症

 フィリピンでは、ブラッドバンクによる輸血用血液の確保が不十分であるため、病院毎に献血者を募る場合が多く、病院によって血液をチェックする項目も異なります。すなわち、A型・B型・C型肝炎ウィルス、梅毒、AIDSウィルス、マラリア原虫などきめ細かくチェックしている病院もありますが、チェック不十分なまま血液が供給される病院もあり得るので、フィリピンで輸血を受ける場合は注意が必要です。


(7)結核

 フィリピンでは近年結核患者が急増し、結核患者数は1999年の時点で約60万人と推定されています。また結核による死亡者数は1993年と比較すると倍増し、1日平均132人にも及んでいます。

3.大気汚染

 

マニラの大気環境は健康に被害を与え得る汚染レベルにまで悪化し、特に大気中の粉塵量は増加の一途を辿り、その主な原因はジプニー(乗り合いタクシー)、トラック、バスなどのディーゼルエンジンよるものです。大気中の鉛は主として乗用車の有鉛ガソリンエンジンから産出されています。マニラではごく最近まで有鉛ガソリンが流通していたため、大気中の鉛濃度は極めて高いままです。マニラでの有鉛ガソリン販売は、1998年6月に成立した大気汚染防止法により、2000年4月1日から原則打ち切られました。しかし、マニラ以外の地域では販売打ち切りが遅れる見込みです。これら深刻な大気汚染によってマニラ全域において、住民の間に喘息や肺炎などの慢性呼吸器系疾患の患者が増加しています。


マニラのスモッグ(黒煙がビル群を覆い隠す)


 4.予防接種
 

フィリピンを訪れる邦人の小児は、定期予防接種(BCG、ポリオ、DPT三種混合、麻疹など)をできるだけ日本で済ませてから渡航したいものです。また成人小児とも、A型およびB型肝炎ワクチン、日本脳炎ワクチン、狂犬病ワクチンなどの接種も勧めます。更に成人には、破傷風トキソイドの追加接種も必要です。


註:
2000年5月、日本では経口ポリオワクチン投与後に麻痺や急性脳症を生じた副作用例が報告され、経口ポリオワクチン接種が一時見合わされました。今後の詳しい動向については、日本の厚生省、保健所などにお問い合わせ下さい。

5.医療施設

フィリピンの地方自治体病院の多くは予算難のため経営困難な状況にあり、空床率が増加しています。これに対して、私立病院の多くは専門医と契約し、料金設定も様々な自由診療です。マニラでもトップクラスの一つと評価されている病院がマカティ・メディカルセンターMakati Medical Center(MMC)です。同院は病床数7百床、医師数6百名余りの総合病院で、救急外来(ER)は24時間体制で患者を受け付けています。同院に関係している専門医は、フィリピン医学会の認定医のみならず、米国の専門医認定を受けている者も少なくありません。このMMCにはフィリピン人のみならず、マニラとその近郊に住む日本人や外国人もよく受診しています。また同院には日本の医大に留学経験を持ち、簡単な日本語を話すフィリピン人医師も登録されています。


  海外邦人医療基金(
JOMF)とマニラ日本人会は、1986年からマニラ日本人会診療所(写真下右)を運営しています。同診療所には日本人医師と日本人事務長が常勤していますので、日本語が通じる医療機関として在留邦人には貴重な存在です。




マカティ・メデイカルセンター


マニラ日本人会診療所

連絡先

・マカティ・メディカルセンター
 
Makati Medical Center
 Amorsolo St.,Makati,Metro Manila
 電話:815-9911

Dr.Romulo A. Trocino
(マカティ・メディカルセンターに登録している日本語可能な内科医師)
 
Medical Plaza Makati,Suite 1707
 Amorsolo Corner Dela Rosa St.
 Legaspi Village,Makati,Metro Manila
 電話:751-3837
 携帯:0912-339-1177

・マニラ日本人会診療所
 
The Japanese Association,Manila,Inc.(Medical Clinic)
  23/F Trident Tower, 312 Sen Gil Puyat Ave. Salcedo Village, Makat City
 電話:818-0880, 819-2762
 FAX819-2811
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