1.社会・治安情勢
ミンダナオ全域に於いて,国軍治安部隊と比共産党の軍事部門・新人民軍(NPA)やイスラム過激派・アブ・サヤフ・グループなど,武装集団との交戦が頻発しているため十分注意が必要である。
2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)ダバオ市警の統計による第4四半期(1月~3月)の犯罪発生件数報告によれば,総犯罪発生件数は1,356件と前期(10月~12月)と比較して2.5%の増加となっており,特に,強盗,窃盗被害が増加している。犯罪種別の内訳は以下のとおり。
謀殺 35件(前期比27%減)
殺人 15件(同21%減)
身体的被害 401件(同15%減)
強姦 13件(同19%減)
強盗 247件(同14%増)
窃盗 643件(同17%増)
車両盗難 2件(同33%減)
家畜泥 0件(同100%減)
(2)邦人被害事案
特になし。
3.テロ・爆弾事件発生状況
(1) 1月6日,コタバト州キダパワン市で,国家警察キダパワン署の建物近くで手製爆弾が見つかり,国軍の爆弾処理班が無事処理した。
(2) 1月12日,南サンボアンガ州パガディアン市サンホセの路上で,手投げ弾が爆発し,爆弾を持っていたとみられる20代後半の男性1人が死亡した
(3) 1月21日,北ラナオ州イリガン市ポブラシオンの路上で爆発物が炸裂し,10歳の少年を含む通行人ら9人が負傷した。
(4) 1月22日,東ダバオ州ルポン町で,国軍兵士がトラックで移動中に地雷が爆発し,兵士1人が死亡,10人が負傷した。
(5) 2月4日,北ラナオ州トゥボッド町の飲食店前で駐車中のオートバイ1台が爆発,少なくとも男女5人が負傷した。
4.誘拐・脅迫事件発生状況
(1) 1月11日,サンボアンガ市で,飲食店などを経営するフィリピン人男性(42)が武装した5人組に拉致された。
(2) 1月17日,コンポステラバレー州ラアク町で,台風パブロの被害調査をしていた警官と国軍兵士各1人がフィリピン共産党の軍事部門・新人民軍(NPA)とみられる武装集団に拉致された。
(3) 2012年6月中旬スルー州で報道関係者のヨルダン人男性とフィリピン人男性の3人が行方不明になった事件で,2月2日,同州内のホテルで,比人男性2人を約7ヶ月半振りに無事保護した。
(4) 2月7日,南サンボアンガ州パガディアン市の住宅街の路上で,生後11ヶ月の男児と子守役の女性(17)が男性1人に拉致された。
(5) 3月18日,コンポステラバレー州ナブントゥラン町アニスラガンの路上で,男性警官が兵士を装った武装集団に拉致された。
(6) 3月23日,サンボアンガシブガイ州イピル町で,2011年12月に武装集団に拉致されていた50代のオーストラリア人男性が約1年3ヶ月ぶりに無事解放された。
5.日本企業の安全に関わる諸問題
2月26日,南スリガオ州タグビナ町にある当地日系企業スミフルのバナナ倉庫に,フィリピン共産党の軍事部門・新人民軍(NPA)とみられる男性3人組が侵入し,化学肥料やバナナの苗に火を放って逃走するという事件が発生した。