1.社会・治安情勢
(1)引き続きミンダナオ全域において,国軍治安部隊と比共産党の軍事部門・新人民軍(NPA)やイスラム過激派・アブ・サヤフ・グループなど ,武装集団との交戦が頻発しているため十分注意が必要である。
(2)5月29日,在フィリピン米国大使館は,米国民に対し,6月12日の独立記念日までサンボアンガ半島地域に渡航しないよう警告した。緊急メ ッセージと題して「身代金目的の外国人拉致という脅威がある。サンボアンガ半島地域への渡航は避けるべき」と呼びかけた(これを受け,スポ ット情報http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo.asp?infocode=2013C236を発出)。
(3)6月30日,ダバオ新市長のロドリゴ・ドゥテルテ氏は市庁舎前で行った10分間の就任宣誓演説で,犯罪対策を強化する方針を表明したとこ ろ,今後,治安当局による掃討作戦等が活発に行われる可能性がある。
2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)ダバオ市警の第1四半期(4月~6月)の犯罪発生件数報告によれば,総犯罪発生件数は1,718件と前期(1月~3月)と比較して26% の増加となっており,特に人的被害が増加している。犯罪種別の内訳は以下のとおり。
謀殺 31件(前期比12%減)
殺人 5件(同67%減)
身体的被害 670件(同67%増)
強姦 9件(同31%減)
強盗 291件(同18%増)
窃盗 708件(同10%増)
車両盗難 3件(同50%増)
家畜泥 1件(同100%増)
(2)邦人被害事案
特になし。
3.テロ・爆弾事件発生状況
(1)4月18日,バシラン州ラミタン市内の路上で,大きな爆発が2回あり,市長選候補者の選挙カーなどが破損した。
(2)5月3日,コタバト州マグペット町で,国軍兵士を乗せたトラックが走行中,近くの路上で地雷が爆破し,兵士2人が負傷した。
(3)5月5日,バシラン州ラミタン市の副市長線に立候補している同市長宅付近で爆発があり,現場に居合わせていた民間人4人が負傷した。
(4)5月13日,コタバト州カバカン町の小学校で,手投げ弾が爆発した。小学校は統一選の投票所だった。
(5)6月9日,サンボアンガシブガイ州マランガス町ポブラシオンの国家警察マランガス署前で爆発があり,同署の初級巡査部長1人が負傷した 。
(6)6月26日,ブキドノン州マラマグ町サウスポブラシオンの地元ラジオ局で手投げ弾が爆発し,清掃員の男性1人が負傷した。
4.誘拐・脅迫事件発生状況
(1)4月7日,サンボアンガ市バリワサンで,ロブスター売りを装った武装5人組が,フィリピン人実業家の女性(38)と,同居の男性(50)を拉致し た。
(2)4月14日,南スリガオ州タグビナ町のカトリック教会で,ミサに出席していた政府系民兵3人と民間人1人の計4人が,NPAとみられる武装集 団に拉致された。
(3)4月14日,南アグサン州ロレト町で,指名手配班を追跡中の警官2人が,NPAとみられる武装6人組に拉致された。
→4月19日,拘束されていた警官2人が自力で脱出した。
(4)4月15日,南アグサン州サンルイス町で,政府系民兵4人が,乗り合いオートバイで移動中に,NPAとみられる武装集団30人に拉致された。
→4月17日,4人が解放された。
(5)4月19日,コタバト州プレジデントロハス町で,現職警官がNPAとみられる武装集団に拉致された。
(6)4月20日,スルー州ホロ町で飲食店を経営するフィリピン人男性(52)が武装した5人組に拉致された。
(7)4月24日,コンポステラバレー州マコ町の市場で,NPAとみられる武装集団約10人が国軍兵3人を襲撃,上等兵1人を拉致して逃走した。
(8)5月3日,スルー州パティクル町の農園で働く男性労働者(30)が,イスラム過激派アブサヤフと見られる武装集団8人に拉致された。
(9)5月5日,北ラナオ州イリガン市で,韓国人男性(45)が武装6人組に拉致された。地元警察が周辺で検問を設置し,交戦の末,数時間後に 男性を救出した。
(10)6月11日,スルー州ホロ町で昨年4月,アブサヤフとみられる武装集団に拉致されていた男性が,約1年2ヶ月ぶりに解放された。
(11)6月17日,ダバオ市パキバト地区マプラで,陸軍兵士5人がオートバイで移動中,NPAとみられる武装集団に拉致された。
(12)6月22日,スルー州パティクル町内を路線ジプニーで移動中の女性2人が,アブサヤフとみられる武装した8人組に連れ去られた。
(13)6月22日,サンボアンガシブガイ州サンボアンガ市で,西ミンダナオ大職員の男性が,アブサヤフとみられる武装集団に自宅から連れ去ら れた。
5.日本企業の安全に関わる諸問題
特になし