(1) ミンダナオ島各地域で凶悪なテロ事件,爆弾事件が相次ぎ,反政府グループ「キラファ・イスラミヤ・ミンダナオ(KIM)」,東南アジアのイスラム系テロ組織「ジェマ・イスラミヤ(JI)」,イスラム急進派「バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)」などが関与しているとの見方が示されている。
(2) また,ミンダナオ全域に於いて,依然として国軍治安部隊と比共産党の軍事部門・新人民軍(NPA)やイスラム過激派・アブ・サヤフ・グループ(ASG)など,武装集団との交戦が頻発している。
(3) これらミンダナオ地方での相次ぐ事件を受け,各国政府は自国民に対し,「テロ攻撃と拉致に関する重大な脅威がある」として一部のミンダナオ地方への渡航を控えるよう注意喚起した(当館からもスポット情報を発出)。
(4) ダバオ市では7月初旬から銃撃事件が頻発しており,これらの銃撃事件には治安当局等による掃討作戦も含まれているが,中には流れ弾により一般市民が巻き込まれ死亡するといった事案もあるので注意が必要である。
(1) 7月6日,マギンダナオ州シャリフサイドナ町で,陸軍部隊が巡回中に手製爆弾1箇が炸裂し,中尉1人,兵士2人が死亡した。爆発物はBIFFが仕掛けたとみられ,現場付近では国軍部隊とBIFFの交戦が約2時間続き,BIFF側18人が死亡した。
(2) 7月9日,マギンダナオ州コタバト市ロサリーにある飲食店で爆弾が爆発し,店長の男性1人が死亡,ウエーター1人,客3人の計4人が負傷した。
(3) 7月26日,東ミサミス州カガヤンデオロ市の飲食店前で爆発があり,近くにいた8人が死亡,48人が負傷した。現場は飲食店が建ち並ぶ一帯で,人通りが多い。
(4) 8月5日,マギンダナオ州コタバト市で爆発があり,少なくとも8人が死亡,46人が負傷した。爆発現場周辺は学校,市場,商業施設が建ち並び,人通りが多い。陸軍報道官は,JIの外国人関係者が事件にかかわった可能性を指摘。
(5) 8月7日,コタバト州ミドサヤップ町ポブラシオンで爆発があった。死傷者はなかった。警察はBIFFが関与していると見解。
(6) 8月7日,マギンダナオ州シャリフサイドナムスタファ町ナブンダスで道路脇に仕掛けられた爆弾が爆発,国軍トラックに乗っていた16人のうち7人が負傷した。
(7) 8月7日,マギンダナオ州ダトゥピアン町内にかかる橋で,手製爆弾が爆発した。死傷者はなかったが,橋の一部が損壊。
(8) 8月26日,ダバオ市パキバト地区タパック・バランガイ(最小行政区)で,NPAが埋めたとみられる地雷の爆発により住民1人が死亡,1人が負傷した。
(9) 8月30日,コタバト州ミドサヤップ町とマギンダナオ州ダトゥピアン町を結ぶ道路脇にある井戸で,NPAが仕掛けたとみられる爆弾が爆発し,井戸で水をくんでいた国軍兵士2人が負傷した。
(10) 9月1日,マギンダナオ州スルタンクダラット町ラディアで,BIFFとみられる武装集団が,国家送電公社(NGCP)の鉄塔に爆弾を仕掛け爆破,鉄塔は崩壊し,マギンダナオ,コタバト両州とコタバト市の広域で停電になった。
(11) 9月9日,サンボアンガシブガイ州サンボアンガ市で,モロ民族解放戦線(MNLF)の武装集団が,サンボアンガ市内に相次いで侵入し,住民数百人を人質にとって市街地に立て籠もった。MNLFから分派したモロ・イスラム解放戦線(MILF)と比政府の和平交渉に反発し事件を起こしたとみられる。
→9月28日,ロハス内務自治長官が「抵抗できる組織力はない」として事態収拾を宣言。
(12) 9月10日,スルー州パティクル町バンカルの路上で爆発があった。死傷者は出ていない。
(13) 9月16日,ダバオ市内にある大型商業施設2カ所の映画館で爆発が相次ぎ,客5人が軽傷を負った。
(14) 9月20日,サンボアンガ市ラブアンにある路線バスの車庫に駐車していたバスが爆発し,車掌1人と清掃員2人の計3人が爆発に巻き込まれて死亡した。
(1) 7月11日,バシラン州ティポティポ町で,未成年7人を含む民間人11人が,武装集団約50人に拉致された。集団側は同日,生後5ヶ月の乳児ら3人の解放に応じた。
→7月15日,武装集団側は地元有力者や軍・警察の説得に応じ,残る民間人8人全員を解放した。同族間の土地争いが背景にあったと見られる。
(2) 7月12日,北ラナオ州イリガン市で女性2人が,28歳と60歳の男性2人組に拉致されたが,国軍と警察が追跡し,約30分後に女性2人を救出,犯人の身柄を拘束した。
(3) 9月4日,バシラン州ランタワン町で,キリスト教系非政府組織(NGO)の関係者2人が武装集団に誘拐された。国軍はアブ・サヤフ・グループによる犯行とみている。