2月22、23日、平成21年度日本NGO連携無償資金協力「フィリピン国マニラ首都圏都市貧困地域における結核対策プロジェクト 第2フェーズ」の活動の一環として、マニラ首都圏のホテル(オーキッド・ガーデン・スイーツ)に於いて、「都市貧困層における結核をなくそう」というテーマで財団法人結核予防会によるワークショップが開催されました。

フィリピンでは依然結核の罹患率が高く、世界の22結核高蔓延国のひとつです。2008年のWHOの報告書によると、西太平洋地域において有病率・罹患率の悪さは第4位であるとされています。特に、多剤耐性結核患者への対策等が課題です。
結核治療においては、多剤耐性結核の蔓延を防ぐためにも、毎日服薬を確認しながら治療していく手法(DOTS(直視下服薬療法)。最低でも6ヶ月継続させることが必要。)が重要です。スラム等の都市貧困地域では、劣悪な生活環境により結核に感染しやすくまた蔓延しやすい状態にありますが、定住所を持たない住民も多く、治療を受ける環境が整っていないことや住民の流出入が激しく治療中断者が多いことから、他地域に比べ結核罹患率が高い上、治療を完遂させることが難しくなっています。
本プロジェクトを実施している結核予防会は、平成20年度の活動において、都市貧困層と呼ばれるマニラ首都圏マニラ市トンド District Ⅰ地区と、ケソン市パヤタス地区において結核対策を実施していた複数の現地団体と協力するネットワークを構築して、結核患者に関する情報共有や地域住民への啓発教育や医療従事者への研修など共同して活動に取り組んできました。特に、対象地区住民の有志をコミュニティーヘルスボランティアとして養成し、地区の結核者の治療継続に貢献してきており、さらに今年度は、現地団体を中心とする研修及び治療継続のための患者追跡などを持続させてきました。このように行政とNGOなどの現地団体が協力して結核対策を実施できるような体制を整えたことで、患者が治療を完了できるシステムを構築してきました。
今回のワークショップは、本プロジェクト実施のため結核予防会と協力している現地団体(28団体)が年に1回集まり、関係者間で現状の問題点を共有し、問題解決に向けての具体的な方策を話し合うと共に、平成21年度の事業評価と今後の事業案を話し合うために開催されたものです。
このように結核対策を実施する団体が比政府や私設NGO(現地団体)を交えてワークショップを開催することは、比においては結核予防会が平成19年度(2008年1月)に初めて実施し、その後、NGO連携無償資金協力により平成20年度(2009年1月)にも開催し、今年が3回目です。
なお、平成21年度本プロジェクトの供与額は、303,226米ドル ( 約31百万円)であり、本プロジェクトの対象地域には約44万人の住民が住んでいます。

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(写真解説)本プロジェクトの活動の一環として、2010年2月6日、宇山智哉経済公使らは、「(財)結核予防会」の鈴木真帆プロジェクト・コーディネーターらとともにCANOSSA(現地パートナー団体)に事業で必要な薬箱等を引き渡しました。
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