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平成22年05月27日

平成22年度日本NGO連携無償資金協力

「フィリピン国マニラ首都圏都市貧困地域における結核対策プロジェクト

第3フェーズ 」贈与契約の署名式

 

5月27日、桂誠駐フィリピン大使は、日本大使館において、「(財)結核予防会」の鈴木真帆テクニカル・コンサルタント( 長田 ( おさだ ) 功 ( いさお ) 理事長の代理)との間で、本案件の贈与契約に署名しました。

 

 

 

フィリピンでは依然結核の罹患率が高く、世界の22結核高蔓延国のひとつです。2008年のWHOの報告書によると、西太平洋地域において有病率・罹患率の悪さは第4位であるとされています。特に、多剤耐性結核患者への対策等が課題です。

 

結核治療においては、多剤耐性結核の蔓延を防ぐためにも、毎日服薬を確認しながら治療していく手法(DOTS(直視下服薬療法))が重要です。フィリピンではWHO(世界保健機関)によるDOTSの目標値(患者発見率70%、治癒成功率85%)を達成している(患者発見率77%、治癒成功率89%)ものの、行政の立ち入りにくいスラム等の都市貧困地域では、依然治療を受ける環境が整っていないことや住民の流出入が激しく治療中断者が多いことから、他地域に比べ高い結核罹患率となっています。

 

 被供与団体は、平成20年度(フェーズ1)及び平成21年度(フェーズ2)の活動において、対象地区で結核対策を実施していた複数の現地団体と協力するネットワークを構築して、結核患者に関する情報共有や地域住民への啓発教育や医療従事者への研修など共同して活動に取り組んできました。特に、対象地区住民の有志をコミュニティーヘルスボランティア(以下、CHVとする。)として養成し、地区の結核対策活動に取り組む他、地域住民を対象とした普及啓発活動も行ってきました。2年間の実績としては、医療関係者延べ107名、CHV延べ185名に対して研修を行い、肺月間のイベント(平成21年8月)においてマニラ市長を始め約520名、世界結核デーのイベント(平成22年3月)において地域住民約320名を対象に結核について普及啓発活動を行いました。

 

 今年度(フェーズ3)においては、(1)医療関係者への研修を行う他、結核患者電子登録システム(ETR)を複数の現地団体に普及・導入して、患者情報管理の簡便化を図り、(2)現地団体間に構築したネットワークをさらに拡大するため、新規団体へのアプローチを行うとともに、現在のネットワークの強化と維持をはかり、(3)世界結核デー等を通じて地域住民への結核に関する正しい知識の教育・啓発活動を行う予定です。

 

 これらの活動により、地区の患者の治療継続に貢献してきており、最終年度である今年度は、当初目標(治療成功率85%達成及び治療脱落率10%)を確実にするべく、達成状況の十分でない地域を重点的に対応する等これまでの現地団体を中心とした研修及び治療継続のための患者追跡などをさらに維持強化することで、地区住民へのさらなる効果が期待されます。

 

 供与額は、350 , 223米ドル ( 約33百万円)です。

 

 

(c) Embassy of Japan in the Philippines