2月1日、磯俣秋男在フィリピン大使館公使は、ミンダナオ島コロナダル市において、平成22年度草の根・人間の安全保障無償資金協力事業「ミンダナオ島南コタバト州におけるマイクロ・クレジット原資支援計画」の立ち上げ式に出席しました。
本件は、2010年11月25日に署名式が行われたものであり、供与額は、183,947米ドル(約1,730万円)です。
(案件概要)
南コタバト財団( South Cotabato Foundation, Inc. )SCFIは、ミンダナオ島南部の南コタバト州を中心に、過去10年にわたり低所得者層を対象としたマイクロ・クレジット事業(商業銀行からの融資を受けられない人々に対して、少額の融資を行う事業)を行ってきました。SCFIは、貧困家庭の主婦を中心に補完的な生計向上手段として小規模なビジネス(サリサリ・ストアの運営、豚の飼育、服飾、バロット(孵化直前の卵を加熱した食べ物)の製造、家具の製造等)を奨励し、その元手となる資金を貸し付けています。現在までに、SCFIは延べ約6,000名の住民を支援しており、その裨益者は少なくとも500ペソ / 月以上の所得増加を達成し、全体の返済率も95%以上と高いものになっています。一方、SCFIの原資が限られているため、その支援対象は限られた地域にとどまっていました。
本件事業により、SCFIは、南コタバト州の1市3町(コロナダル市、バンガ町、ポロモロク町、タンタンガン町)において支援対象を拡大します。当該地域はカトリック教徒だけでなく、ムスリムや少数民族(ブラアン族、ティボリ族)も混在する地域であり、住民の多くが農業(コメ、トウモロコシ、ココナッツ)に従事しています。住民の平均所得は月4,000ペソ程度で、特に中心部から離れた農村部では1,000~2,000ペソで生活する住民も少なくないことから、住民の所得向上が喫緊の課題となっています。同地域で新たにマイクロ・クレジット事業の裨益者となるのは約930世帯の住民であり、事業を通じてその所得が向上することが期待されます。
( 了 )