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平成22年02月16日

平成22年度日本NGO連携無償資金協力

「フィリピン国マニラ首都圏都市貧困地域における結核対策プロジェクト

第3フェーズ 」ワークショップの開催

 

2月14日から16日まで、平成22年度日本NGO連携無償資金協力「フィリピン国マニラ首都圏都市貧困地域における結核対策プロジェクト 第3フェーズ」の活動の一環として、マニラ首都圏のホテル(ベイ・ビュー・パーク・ホテル)において、一年間の活動を総括しマニラ首都圏における今後の結核対策を検討するために、財団法人結核予防会によるワークショップが開催されました。

 

 

フィリピンでは依然結核の罹患率が高く、同国は世界の22結核高蔓延国のひとつです。

 

結核治療においては、多剤耐性結核の蔓延を防ぐためにも、毎日服薬を確認しながら治療していく手法(DOTS(直視下服薬療法)。最低でも6ヶ月継続させることが必要。)が重要です。スラム等の都市貧困地域では、劣悪な生活環境により住民が結核に感染しやすく、また結核が蔓延しやすい状態にありますが、定住所を持たない住民も多く、治療を受ける環境が整っていないことや住民の流出入が激しく治療中断者が多いことから、他地域に比べ結核罹患率が高い上、治療を完遂させることが難しくなっています。

 

 本プロジェクトを実施している結核予防会は、平成20年度(フェーズ1)及び平成21年度(フェーズ2)の活動において、対象地区で結核対策を実施していた複数の現地団体と協力するネットワークを構築して、結核患者に関する情報共有や地域住民への啓発教育や医療従事者への研修など共同して活動に取り組んできました。特に、対象地区住民の有志をコミュニティーヘルスボランティア(以下、CHV)として養成し、地区の結核対策活動に取り組む他、地域住民を対象とした普及啓発活動も行ってきました。この3年間の実績としては、医療関係者延べ137名、CHV延べ274名に対して研修を行い、肺月間のイベント(平成21年8月)においてマニラ市長を始め約520名、世界結核デーのイベント(平成22年3月)において地域住民約320名を対象に結核について普及啓発活動を行いました。また、本年度も同様に肺月間のイベント(平成22年8月。出席者約550名)を開催し、3月25日に世界結核デーのイベントを開催する予定(パヤタスの村長始め約300名の出席を予定)です。

今年度(フェーズ3)においては、(1)医療関係者への研修を行う他、結核患者電子登録システム(ETR)を複数の現地団体に普及・導入して、患者情報管理の簡便化を図り、(2)現地団体間に構築したネットワークをさらに拡大するため、新規団体へのアプローチを行うとともに、現在のネットワークの強化と維持をはかり、(3)世界結核デー等を通じて地域住民への結核に関する正しい知識の教育・啓発活動を行い、目標達成状況の十分でない地域を重点的に対応する等これまでの活動をさらに維持強化して、地区住民へ貢献してきました。

 

 今回のワークショップは、本プロジェクト実施のため結核予防会と協力している現地団体(30団体)が年に1回集まり、関係者間で現状の問題点を共有し、問題解決に向けての具体的な方策を話し合うと共に、平成22年度の事業評価と今後の事業案を話し合うために開催されたものです。

 このように結核対策を実施する団体が比政府や私設NGO(現地団体)を交えてワークショップを開催することは、比においては結核予防会が平成19年度(2008年1月)に初めて実施し、その後、平成20年度(2009年1月)及び平成21年度(2010年2月)にも開催し、今年が4回目です。

 

 なお、平成22年度のNGO連携無償資金協力による本プロジェクトへの資金供与額は、350 , 223米ドル ( 約33百万円)であり、本プロジェクトの対象地域には合計で約53万人の住民が住んでいます。(平成20年度及び平成21年度のNGO無償資金協力による本プロジェクトへの資金供与額は、それぞれ約144,615米ドル、約268,354米ドルです。 )

 

 

(了)

 

(c) Embassy of Japan in the Philippines