2月15日、磯俣秋男在フィリピン大使館公使は、ミンダナオ島 マギンダナオ州ダトゥ・オディン・シンスアット町 において、平成21年度草の根・人間の安全保障無償資金協力事業「 バンサモロ社会福祉施設建設計画 」の施設引渡式に出席しました。
本件は、2010年3月17日に署名式が行われたものであり、供与額は、 78,383 米ドル(約807万円)です。
(案件概要)
ミンダナオ島ムスリム・ミンダナオ自治地域( ARMM )においては、比国軍とモロ・イスラム解放戦線( MILF )との戦闘が長らく続いている影響で、女性や子供たちの抱える心の問題が深刻化しています。同地域の女性たちは、不安定な情勢の中で家計をやりくりする重荷に耐えなければならず、一方、子供たちも暴力や戦闘を目の当たりにすることにより、心理的なショックを受けたり、精神的なトラウマを抱えるようになっています。また、同地域では家庭内暴力やレイプといった女性や子供に対する身体的及び精神的暴力が増加傾向にあり、中でも、2008年8月に発生した戦闘で国内避難民となった人々が多く暮らしている難民キャンプのうち最大級のものが存在するダトゥ・ピアン町において件数が多くなっています。
こうした中、申請団体である「ユナイテッド・ユース・オブ・ザ・フィリピンズ - ウィメン(UNYPHIL-W)」は、国内避難民の避難所や借り上げたファンクション・ホール等において、精神的な問題を抱える女性や子供のための社会福祉活動を行ってきました。しかし、安定的に施設を確保できない状況では、女性や子供たちに対してトラウマからの回復のための適切な環境を与えることができない等、十分な支援を行うことが困難な状況でした。
本件事業では、暴力や強姦の被害に遭った女性、虐待を受けた子供、国内避難民等の受け入れを行う社会福祉施設を建設し、必要な機材を供与します。この施設において、カウンセリング、法的支援、教育、専門医への紹介、技術訓練といったサービスが提供されます。
( 了 )