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平成22年03月16日

 

草の根・人間の安全保障無償資金協力

理学療法の設備向上のための機材供与計画

引渡式

 

 

 

 

 

3月16日、磯俣秋男在フィリピン大使館公使は、カロオカン市において、草の根・人間の安全保障無償資金協力事業「 理学療法の設備向上のための機材供与計画 」の機材引渡式に出席しました。

 

本件は、2010年3月18日に署名式が行われたものであり、資金供与額は、 76,474 米ドル(約787万円)です。

 

(案件概要)

本件事業の被供与団体であるドクター・ホセ・エヌ・ロドリゲス記念病院は、ルソン島全域を代表するハンセン病患者のための療養所として1940年にマニラ首都圏カロオカン市に設立されました。現在では、ハンセン病治療を引き続き実施している他、総合病院としても患者を受け入れており、受入患者数は年間約9,000名に上ります。同病院の理学療法科では、ハンセン病患者やその他身体麻痺を患う人々に対して、各種リハビリサービスが提供されており、例えば、ハンセン病患者の場合については、こうしたサービスによって身体部位の麻痺や関節拘縮の進行が抑えられるだけでなく、症状を改善する効果もあることが確認されています。

 

一方、以前に同病院が所有していた15種類のリハビリ機材は1980年代から使用されており、修理が必要なものも多く、各患者の症状に適した治療を実施することが難しくなっていました。本件事業では、同病院の理学療法科の 設備向上のため、新たに31種類のリハビリ機材を供与しました。右によって、月当たり約550名の 患者に対して各症状に適したリハビリサービスを行うことが可能となる見込みです。

 

このような各種疾病に対する協力等保健分野での支援を含む草の根・人間の安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に、計441件の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来より積極的に取り組んできており、本事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。

 

なお、我が国は、ハンセン病患者及びその家族に対する社会的差別の解消の問題にも長年取り組んできています。最近では、ジュネーブにある人権理事会において2008年から3年連続で、我が国が提出したハンセン病差別撤廃決議が採択されており、昨年12月にはニューヨークの国連総会においても我が国のイニシアティブにより同旨の決議が、全会一致で採択されました。これら決議により、ハンセン病に関する誤った認識や誤解に基づく偏見や差別の問題を解決するための各国の取り組み等を求める「ハンセン病撤廃のための原則及びガイドライン」も策定されています。

 

 

(c) Embassy of Japan in the Philippines