
3月22日、桂誠駐フィリピン大使は、日本大使館において、ソルソゴン州ブラン町の カストロ町長 との間で、標記案件に係る贈与契約に署名しました。
供与額は、 86,757 米ドル(約815万円)です。
(案件概要)
総人口約10万人のソルソゴン州ブラン町は、同州の交易の中心地であり、急速な経済発展を遂げていますが、草の根のコミュニティレベルにはその恩恵は必ずしも達しておらず、町住民の約50%は貧しい生活を強いられています。行政側も増加する人口に対応した社会サービスを十分に提供できておらず、特に質の高い医療保健サービスの普及が遅れています。
ブラン町内の63のバランガイ(最小行政単位)のうち、保健所を有するものは18箇所しかなく、そのうち出産施設を兼ね備えたものは、現在バランガイ・オタビにしかありません。そのため、多くの妊産婦が専門の医療機関で検診を受けることができず、出産に際しても自宅分娩を選ぶ女性が多いのが現状です。そのため、出産に係る母子の死亡件数が多く、特に2008年には年間60件に上っています。
本事業では、質の高い施設分娩の提供を目的として、バランガイ・ゾーン2において出産施設を建設し、バランガイ・オタビの出産施設を拡張するとともに、必要な医療機材について供与します。本件事業実施により、バランガイ・ゾーン2の妊産婦(年間約180名)とバランガイ・オタビ(年間約140名)の妊産婦に対して質の高い施設分娩サービスの提供が可能となり、また、両地域における妊産婦死亡率・乳幼児死亡率が減少することが期待されます。
このような保健分野での支援を含む草の根・人間の安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に、計442件の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来より積極的に取り組んできており、本事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。