4 月 26 日、桂誠駐フィリピン大使は、ケソン市において、フィリピン保健省の熱帯医学研究所( RITM )設立第 30 周年記念式典に出席しました。フィリピン側からは、フィリピン保健省のタヤグ次官補佐、 RITM オルベダ所長らが出席しました。
式典において、オルベダ所長は RITM の成り立ちや研究内容を説明すると共に、同研究所への日本の ODA による支援に対する感謝を表明しました。保健省のタヤグ次官補佐は感染症対策における RITM の重要性を述べました。
桂大使は、スピーチの中で RITM の 30 年の歴史を述べると共に、感染症分野における長年の日本とフィリピンの協力関係にも言及しつつ、こういった協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであること、また、我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものであることを強調しました。
(施設概要)
RITM は、熱帯地方特有の感染症に関するフィリピン保健省直轄の中央研究所として、 1981 年にマニラ首都圏モンテンルパ市アラバンに、日本の ODA により設置されました。 その後、日本は研修施設等の増築も支援し、アジア地域の研究者を招聘して同研究所で研修を実施してきました。
2002 年には、 RITM に付属して国立結核研究所が、日本の ODA により設置されました。
2008 年からは、文部科学省の「感染症研究国際ネットワーク推進プログラム( J-GRID )」として東北大学が RITM と共同研究を実施しています。さらに、今年から両者は「小児呼吸器感染症の病因解析・疫学に基づく予防・制御に関する研究プロジェクト」も共同で実施しています。
また、 RITM は、新興感染症、再考感染症制御のために重要な役割を果たしており、 2003 年の SARS 発生の際や 2009 年の新型インフルエンザ H1N1 の際も診断・治療の拠点として機能しました。こういった機能を果たすために、日本は 2003 年にマスク、ガウン等の機材を供与し、施設の整備を行いました(感染症患者を管理するため、病室を陰圧化しました)。