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平成23年10月26日

草の根・人間の安全保障無償資金協力

「 マンダウェ市におけるコミュニティ施設改築計画 」

贈与契約署名式

 

 

10月24日、卜部敏直駐フィリピン大使は、日本大使館において、被供与団体であるNGO「 ビドゥリシウ財団 」の ロリタ・ガナピン事務局長 との間で、標記案件に係る贈与契約に署名しました。

資金供与額は、 88,459米ドル(約780万円) です。

 

(案件概要)

人口約34万人を有するマンダウェ市はセブ州の東中央に位置し、セブ商業地区の一部を構成しています。同市では、貧富の格差が激しい上、ミンダナオ地方やビサヤ地方を中心とした他州から移住してきた貧困層の増加とも相まって、市内には不法居住区が点在しています。不法居住区内では、売春行為に及ぶ子どもたちが存在し、性感染症を患うなど、しばしば身体と精神の健康に重大な影響を受けています。

 

現地NGOである「ビドゥリシウ財団」(現地語で「日の出の光」を意味する)は、 1989 年に設立され、主に路上の子ども達を支援してきました。子ども達を売春行為から抜け出させ、学校や社会への復帰及び家族との再統合を促すため、マンダウェ市の施設において、心理ケア・啓蒙教育、性感染症予防等の保健教育、学校への復帰を促すための補習授業、社会参画を促すための職業訓練等の活動を実施しています。また、同財団は、売春行為に及ぶ子ども達を生み出す原因でもある、家族の貧困、暴力や虐待、親の無知や理解の欠如といった問題にも取り組んでいます。家族を対象とした生計向上プロジェクトや、家族間の再統合を促進するためのカウンセリングを実施しています。

 

一方、同財団が、支援の拠点としている社会福祉施設は、築 20 年以上が経過しており、老朽化が激しくなっています。子どもたちが学ぶ教室は、雨漏りがし、最近では屋根の一部が崩れ、トイレの床が抜け落ちてしまいました。教育・研修に使用する機材や、性感染症等に関する基礎的な医療行為を行うための機材も老朽化が激しい上、数も不足しています。

 

 本件事業では、セブ州のマンダウェ市において「ビドゥリシウ財団」が活動を実施するための社会福祉施設を改築します。また、各種研修に必要な機材も整備されます。本件事業の実施により、年間約 2,200 名の子どもたちとその家族が、改築された施設で心理ケアや各種教育・訓練プログラムを受けられるようになります。

 

このような貧しい人々の福祉向上に資する支援を含む草の根・人間の安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に、計452件の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来より積極的に取り組んできており、本件事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。

 

 

(c) Embassy of Japan in the Philippines