
11月3日、卜部敏直駐フィリピン大使は、日本大使館において、「(特活)アジア日本相互交流センター(ICAN)」の野村幸代フィリピン事務所代表との間で、本件事業の贈与契約に署名しました。
資金供与額は、561,795米ドル(約5千万円)です。
(案件概要)
ミンダナオ島コタバト州に位置するピキット町は、人口約10万人を抱え、イスラム教徒が約75%、キリスト教徒が約25%を占めています。同町は、過去に幾度も紛争の激戦地となり、多くの住民が避難と帰還を繰り返してきました。現在は武力衝突が落ち着いていますが、復学を望む子供たちが増える一方で、教育基盤の整備は遅れています。本件事業が実施されるティヌトゥラン村のスルタン・メモリアル中等学校では、300名を超える生徒数に対して、教室は5教室しかなく、1教室当たりの人数が60人を超えており、混雑した状況となっています。また、一部の授業は野外ステージを利用して行われています。
また、紛争を経験した子供達は、かけがえのない身内や大切な財産を失い、心に傷を抱えています。こうした子供達が、再び異教徒等に対して敵意を抱き、暴力の連鎖が起きることを防ぐために、学校における平和教育の推進が求められています。
本件事業では、ティヌトゥラン村のスルタン・メモリアル中等学校において、1校舎6教室を建設します。また、机や椅子、黒板と言った備品も整備されます。右によって、スルタン・メモリアル中等学校の約300名の子供達の学習環境が大きく改善されます。また、本件事業では、地域の小中学生と教員を対象とした「平和の学校」研修を実施します。この研修では、子供たちが、問題が生じた際に暴力に訴えるのではなく平和的に解決する方法を学ぶほか、教員たちが、ストレスを抱える子供たちへの対処法を学びます。
日本NGOによる途上国での開発事業を支援する日本NGO連携無償は、2002年から開始されました。フィリピンでは、現在までに計26件の事業を支援してきており、支援総額は約3億1千万円に上っています。 本件事業は我が国とフィリピンとの間の戦略的パートナーシップを更に強化することにも資するものです。