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平成24年01月19日

平成23年度日本NGO連携無償資金協力

ミンダナオ島先住民族の子どもたちの地域開発プロジェクト(フェーズ1)

贈与契約署名式

 

 

1月19日、卜部敏直駐フィリピン大使は、日本大使館において、「(特活)アジア日本相互交流センター(ICAN)」の野村幸代フィリピン事務所代表との間で、本件事業の贈与契約に署名しました。

 

資金供与額は、209,484米ドル(約1,860万円)です。

 

(案件概要)

 ミンダナオ島南部では、数千年前からブラアン族やティボリ族といった先住民族が、現在のジェネラルサントス市一帯で狩猟採集を基盤とする生活をしていました。しかし、1930年代にフィリピン政府がルソン・ビサヤ地方から同地域への入植を奨励し、また1960年代から多国籍企業も進出したことから、先住民族の多くは次第に高地へと追いやられていきました。先住民族は現在でも、差別の対象となっており、また都市部から離れたその生活は厳しいものです。本件の事業地であるジェネラルサントス市のサンホセ村も正にそのような地域に属し、教育、保健医療、生計向上といった分野における支援の必要があると共に、先住民族が抱える特有の劣等感を取り除くための取り組みも求められています。

 

 本件事業では、サンホセ村のシャトル小学校において、2教室を建設します。また、机や椅子、黒板といった備品も整備されます。これにより、シャトル小学校の約350名の子供達の学習環境が改善されます。また、子供達及び教員を対象として、先住民族の文化に対する理解を深めるための研修を実施します。その上で、将来的に子供達が自己を肯定的に捉えられるよう、先住民族の子供に文化背景に配慮した学校作りを推進します。

 

 本件事業ではまた、保健医療、生計向上の分野においても地域住民を対象とした研修を行います。 広大な村の中には、事実上無医村となっている地域があり、病気の予防、応急措置等を地域住民が自分たちで実施できるよう、保健医療に対する知識を高める研修を実施します。また、近年衰退している先住民族の手工芸品を復興させ、生計向上につなげるため、技術訓練やビジネスを行う上での基礎となる会計、組織運営についても研修を行います。

 

 日本NGOによる途上国での開発事業を支援する日本NGO連携無償は、2002年から開始されました。フィリピンでは、現在までに計27件の事業を支援してきており、支援総額は約3億3千万円に上っています。 本件事業は我が国とフィリピンとの間の戦略的パートナーシップを更に強化することにも資するものです。

 

 

(c) Embassy of Japan in the Philippines