2月19日、中部ルソン地方のオーロラ州バレール市において、我が国の無償資金協力案件「オーロラ記念病院改善計画」により新築移転された病院の完成式典が行われ、アキノ大統領、アンガラ上院議員、オナ保健大臣、アンガラ下院議員、アンガラ・オーロラ州知事及び卜部敏直駐フィリピン大使他が出席しました。
本計画は、オーロラ州の州都バレール市の中心部に位置していたオーロラ記念病院(25床)について、同じくバレール市のリザルバに新しく50床の病院を建てて医療機材を供与し、第二次機能病院(総合病院)として移転するという計画です。
オーロラ州は台風の被害も多く、豪雨に伴う地滑りのため道路網が寸断されることが頻繁にあり、災害発生時には陸の孤島となることがあります。オーロラ記念病院は、州最大の州立病院であり、地域の拠点となる病院ですが、帝王切開手術も実施できないなど、十分な医療を提供できない状況であったため、今回の無償資金協力により、病院機能を強化したことで地域の保健医療サービス提供体制の強化につながります。また、保健医療サービス提供体制の強化により、オーロラ州の妊産婦死亡率や乳幼児死亡率の改善も期待でき、MDGs(ミレニアム開発目標)達成の一助となることが期待できます。フィリピン保健省も、MDGs達成や医療機関の整備を柱とした「万人のための医療」を重要な政策ととらえており、本計画はフィリピン政府の目指す施策とも合致しています。
我が国は本計画に対し、無償資金協力として 10.89 億円の支援を行いました。
近接した敷地にフィリピン大学医学部の分校を建築中であり、州政府は将来的に本病院を100床の第四次機能病院(研修及び教育を行える病院)とすることを計画しており、今後本病院の機能はさらに強化されていく予定です。また、青年海外協力隊(JOCV)の隊員による支援も行っており、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)などの観点から病院の立ち上げに協力します。
このような保健分野への協力は、日本政府が推進している「人間の安全保障」の確保に資するものであり、自然災害等のリスクに対する脆弱性の克服及び生活基盤の安定・強化といった観点からも保健医療分野における協力は重要です。本計画の実施は、両国間の戦略的パートナーシップの一層の発展にも寄与するものです。