

29 日(木曜日)、マニラにおいて、日本側卜部敏直駐フィリピン国大使とフィリピン側アルベルト・デルロサリオ外務大臣(Mr. Alberto F. Del Rosario, Secretary of Foreign Affairs )との間で、総額590 億1,900 万円を限度とする6 件の円借款及び総額23 億9,400 万円を限度とする2 件の無償資金協力に関する交換公文の署名式が行われました。 また、本署名に先立って3 月21 日には、総額2 億5,000 万円を限度とする1 件の無償資金協力に関する交換公文への署名が、卜部大使とデルロサリオ大臣の間で行われました。これら9件の新規署名案件の総額は616 億6,300 万円になります。(署名案件一覧については下記参照。)
今回の署名案件には、道路建設などのインフラ整備、河川改修などの防災対策、灌漑施設の改修などの農業支援、工業製品の供与など、様々な分野の案件が含まれています。これらの案件は、フィリピン政府が「フィリピン開発計画 2011-2016 」において掲げる「包摂的成長」の実現に向けたフィリピン政府の努力を、投資環境の改善を通じた経済成長の達成、自然災害に対する脆弱性の克服、生活・生産基盤の安定といった観点から総合的に支援するものです。 また本件事業は、我が国とフィリピンとの間の戦略的パートナーシップを更に強化することにも資するものです。
対象案件の概要,背景,期待される効果は以下のとおりです。
(1)円借款
ア 中部ルソン接続高速道路計画( 227 億 9,600 万円)
マニラから北方 100km 圏に位置し,産業の集積による発展が見込まれる中部ルソンの都市タルラックとカバナツアンを連結する高速道路及びインターチェンジを建設するものです。本件の実施により,カバナツアン・マニラ首都圏間の移動に要する時間が大幅に短縮され,中部ルソン地域とマニラ首都圏間の物流の改善を図ることで,中部ルソンの経済開発に寄与することが期待されます。
イ 幹線道路バイパス計画( Ⅱ )( 45 億 9,100 万円)
マニラ首都圏と北部近郊都市を結ぶ通勤・物流のボトルネックとなっているプラリデル市周辺においてバイパス道路を建設し,既に供与済みのフェーズ Ⅰ (平成 14 年度円借款)と併せ,プラリデル市周辺の渋滞緩和,輸送能力・効率向上を図り,マニラ首都圏及び北部近郊地域の経済社会開発に寄与することが期待されます。
ウ パッシグ・マリキナ川河川改修計画( Ⅲ )( 118 億 3,600 万円)
マニラ首都圏は沿岸低地地域のため,洪水の深刻な影響を受けてきています。マニラ首都圏内を貫流するパッシグ・マリキナ川において,我が国の優れた防災技術を活かし,構造物(護岸建設・改修,浚渫,堤防建設)及び非構造物(流域情報ウェブサイト構築,ハザードマップ作成,啓発活動等)に係る洪水対策を行い,既に供与済みのフェーズ Ⅰ ,Ⅱ (平成 11 , 18 年度円借款)と併せ,マニラ首都圏の洪水被害の軽減を図り,同地域の安定的な経済発展に寄与することが期待されます。
エ 洪水リスク管理計画(カガヤン川,タゴロアン川,イムス川)( 75 億 4,600 万円 )
大規模穀倉地や産業集積地を抱えるカガヤン川,タゴロアン川及びイムス川の3河川流域において,構造物(護岸,堤防,排水施設,遊水池の建設等)及び非構造物(ハザードマップ作成等)に係る洪水対策を行い,3流域における河岸侵食や氾濫等の洪水被害の軽減を図ることで,これら地域の持続的・安定的な経済発展に寄与することが期待されます。
オ 灌漑セクター改修・改善計画( 61 億 8,700 万円)
フィリピンの 11 地域において既存灌漑施設の改修,施設運営維持管理のための水利組合の強化,営農支援等を実施します。本件事業によって灌漑施設の維持管理体制強化を図り,持続的な灌漑システムの確立を通じて,灌漑面積の拡大や農作物生産高の向上により,食料供給の安定化と農民の所得向上に寄与することが期待されます。
カ ミンダナオ持続的農地改革・農業開発計画( 60 億 6,300 万円)
ミンダナオ地域における農業インフラ整備(市場アクセス道路,橋梁,灌漑施設,収穫後処理施設,村落給水施設)を行い,作付率,収穫量,市場へのアクセス等の向上を図ります。本件事業により,フィリピン政府の農地改革(小規模農家への農地配分や公用地への入植)を支援し,ミンダナオ地域における小規模農家の生産性向上,農業生産の拡大と所得向上を図ることで,同地域の持続的発展に寄与することが期待されます。
(2)無償資金協力
ア 広域防災システム整備計画( 10 億円)
フィリピンでの地震・津波に係る災害リスク軽減・管理対策の支援のため,我が国の測定機材(地震計,潮位計等)や予警報装置等防災関連機材を整備するものです。本件を実施することにより,フィリピンでの地震・津波等災害発生時の情報収集能力が向上し,災害関係機関及び一般市民への災害情報伝達の迅速化が図られます。また,我が国としても,各種の観測データがリアルタイムで入手することができるようになり,津波予測の精度向上が可能となることから,我が国の防災対策にも貢献することが期待されます。
イ 第二次農地改革地域橋梁整備計画( 13 億 9,400 万円)
台風の常襲地域であるルソン島東部オーロラ州で,現在橋梁が存在しないために渡河の大部分をボートに依存しているウミライ川河口に位置するウミライ地区において,橋梁及びその取付道路を建設するものです。本件を実施することにより,台風通過時期など河川の増水・洪水時に対岸への交通途絶が発生していた地点で,災害時にも対岸への避難や保健医療施設へのアクセスが確保できるようになり,周辺地域住民の生活環境改善に資することが期待されます。
ウ 途上国の要望を踏まえた工業用品等の供与 ( 2 億 5,000 万円)( 3 月 21 日署名分)
フィリピン政府が進めている保健・教育・職業訓練等の分野における各種施策を実施する上で必要とされている工業用品を購入する資金を供与するものです。
(1)ウ及びエ並びに(2)ア及びイの各案件は, 2009 年 12 月に発表した気候変動対策に関する我が国の 2012 年までの途上国支援の一環として実施することとした案件です。我が国としては, COP17 で得られた成果を踏まえ,すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築に向け,フィリピンと引き続き気候変動分野で連携していきます。