2月8日、卜部敏直駐フィリピン大使は、日本大使館において、「(特活)アジア日本相互交流センター(ICAN)」の野村幸代フィリピン事務所代表との間で、本件事業の贈与契約に署名しました。
資金供与額は、 240,693 米ドル(約 1,950 万円)です。
(案件概要)
ミンダナオ島南部では、数千年前からブラアン族やティボリ族といった先住民族が、現在のジェネラルサントス市一帯で狩猟採集を基盤とする生活をしていました。しかし、1930年代にフィリピン政府がルソン・ビサヤ地方から同地域への入植を奨励し、また1960年代から多国籍企業も進出したことから、先住民族の多くは次第に高地へと追いやられていきました。先住民族は現在でも、しばしば差別的な扱いを受けることがあり、また都市部から離れたその生活は厳しいものです。本件の事業地であるジェネラルサントス市のサンホセ村もまさにそのような地域に属し、教育、保健医療、生計向上といった分野における支援の必要があるとともに、先住民族が抱える特有の劣等感を取り除くための取り組みも求められています。
第1年次では、サンホセ村のシャトル小学校において、2教室の建設及び備品の整備を行い約350名の子供達の学習環境が改善されたほか、子ども及び教員を対象とした、先住民族の文化に対する理解を深めるための研修、保健医療、生計向上の活動を実施しました。
本件事業(第2年次)では、第1年次の成果をさらに拡大していく形で、サンホセ村の ビアオ小学校における2教室の建設及び机、椅子、黒板といった備品の整備を行うほか、児童会の強化、先住民の子ども向けの教育についての教員の強化、コミュニティ・レベルでの保健環境向上活動、手工芸品の生産、販売、マーケティング等による生計向上が実施されます。
日本NGOによる途上国での開発事業を支援する日本NGO連携無償は、2002年から開始されました。フィリピンでは、現在までに計33件の贈与契約が締結されており、支援総額は約5億1千万円に上っています。 本件事業は我が国とフィリピンとの間の戦略的パートナーシップを更に強化することにも資するものです。
以上