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平成25年11月20日

 

結核予防会フィリピン事務所の在外公館長表彰

 

 

平成25年11月19日

 

 


                           

平成25年11月19日、卜部敏直駐フィリピン国大使は、結核予防会フィリピン事務所に対し、長年にわたるフィリピンでの結核対策支援に対する貢献を顕彰するため、大使公邸において在外公館長表彰を行いました。

 

フィリピンは結核患者が多い国の一つであり、世界の結核患者の8割が集中する22の結核高蔓延国に含まれ、その中で例年10位以内にランキングされています。比国内で毎年約14万人の新しい結核患者が登録されており(1日約390人)、また結核が原因で亡くなっていると考えられる人は約3万人にのぼり(2009年推計値)、これは平均毎日88人のフィリピン人が死亡していることになります。

 

結核予防会は1939年に設立され、1992年からJICA結核対策プロジェクトを通して、比国内で結核対策に関する技術支援を行ってきました。この間に、結核の効果的な治療法であるDOTS(Directly Observed Treatment Short-Course(直接服薬確認短期化学療法:治療薬の服薬を直接確認する治療法))の全土拡大を達成し、フィリピンの結核対策向上に大きく貢献してきました。2008年には、現地NGOである『結核予防会フィリピン事務所』(RIT/JATA Philippines, INC. : Research Institute of Tuberculosis / Japan Anti-Tuberculosis Association, Incorporated)を立ち上げました。

 

現在は、フィリピンの都市貧困地区であるマニラ市トンド地区とケソン市パヤタス地区を対象に結核対策プロジェクトを実施しています。行政機関、保健所、NGOを巻き込んだ官民連携のネットワークを構築したり、結核対策に従事する医師、看護師、検査技師などの医療・保健関係者、保健ボランティアらを対象に、結核と疑われる人の発見や、結核診断のために必要な検査と診断後の治療を確実に実施できるよう研修を実施したり、住民への啓蒙活動を行ったりするなど、地域における結核対策を支援しています。また、2011年からは、ネットワークの強化に加え、結核健診による積極的な患者発見と潜在性結核治療の支援、多剤耐性結核の診断の支援、小児結核対策の支援などを行い、感染と発病の効果的な予防対策を実施する事業を行っています。

 

結核予防会フィリピン事務所の長年にわたる、フィリピンにおける国レベル及び草の根レベルでの結核対策に対する技術支援を行ってきた実績、および草の根レベルにおける患者発見、結核診断、治療に関して、政府機関のみならず、草の根で活躍するNGOや地元のヘルスワーカーも巻き込んだ官と民とのネットワークによる包括的な結核支援体制を構築した功績を高く評価し、在外公館長表彰を行うこととなりました。