25 日(月曜日)、フィリピン外務省において、日本側卜部敏直駐フィリピン国大使とフィリピン側アルベルト・デルロサリオ外務大臣( Mr. Alberto F. Del Rosario, Secretary of Foreign Affairs )との間で、総額 540 億 3,400 万円を限度とする2件の円借款及び総額 10 億 4,000 万円を限度とする2件の無償資金協力に関する交換公文の署名式が行われました。
対象案件の概要、期待される効果等は以下のとおりです。
(1) 円借款
ア「首都圏大量旅客輸送システム拡充事業」( 432 億 5,200 万円)
都市化に伴い交通事情が悪化の一途をたどるマニラ首都圏において、 LRT 1号線延伸に係る車両調達及び既存施設改良並びに LRT2 号線延伸を実施するものです。 本案件の実施により、両路線の輸送力の増強が図られ、マニラ首都圏の道路混雑の緩和及び大気汚染・気候変動の緩和に寄与することが期待されます。
イ「新ボホール空港建設及び持続可能型環境保全事業」( 107 億 8,200 万円)
中部フィリピン(ビサヤス)地域のボホール州では、州都タグビララン市にある現空港の旅客数が急激に増加しているため、現空港に代えて対岸のパングラオ島に新空港を整備するものです。 本案件の実施により、航空輸送に係る利便性・安全性の向上を図り、もって同地域における持続的な成長に寄与することが期待されます。
(2)無償資金協力
ア「イフガオ州小水力発電計画」( 8 億 9,300 万円)
ルソン島北部のイフガオ州において、 820kW 程度の規模の小水力発電所を整備するものです。 本案件の実施により、国産の再生可能エネルギー利用が促進され、地域の観光資源である棚田の保全及び温室効果ガス排出量の削減に寄与することが期待されます。
イ「イサベラ州小水力発電計画」( 1 億 4,700 万円)
ルソン島北部のイサベラ州において、既存の灌漑施設を利用した 45kW 程度の規模の小水力発電所を整備するものです。 本案件の実施により、本件の実施により国産の再生可能エネルギー利用が促進され、エネルギー源多様化及び温室効果ガス排出量の削減に寄与することが期待されます。
(1)ア及びイの案件は、フィリピン政府が「フィリピン開発計画 2011-2016」において掲げる「包摂的成長」の実現に向けたフィリピン政府の努力を運輸・交通網整備という観点から支援するものです。
また、(2)ア及びイの案件は、我が国が2013年以降も気候変動対策に関する途上国支援を切れ目なく実施することを表明しているところ、気候変動の緩和に資する案件です。我が国としては、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築に向け、フィリピンと引き続き気候変動分野で連携していきます。
これらの事業は、我が国とフィリピンとの間の戦略的パートナーシップを更に強化することにも資するものです。
( 了 )