2月25日、石川和秀駐フィリピン大使は、日本大使館において、認定NPO法人「アイキャン」(ICAN:International Children's Action Network)の野村幸代フィリピン事務所代表との間で、本件事業の贈与契約に署名しました。本案件の資金供与額は、575,692米ドル(約 6,300万円)です。
(案件概要)
ミンダナオ島では、政府軍と反政府軍(MILF)との間で、40年にわたる武力衝突が続いてきました。この紛争のために、過去20年間で12万人が殺害されました。本案件の事業対象地域である、ミンダナオ島コタバト州ピキット町の南西部には、MILF軍事キャンプがあり、過去に多くの国内避難民が発生しました。ミンダナオ州紛争を経験してきた子どもたちの多くは、心の傷を負っており、紛争により何度も通学が妨げられ、また地域に学校が整備されておらず、多くの子どもたちが学校に行くことができていないのが現状です。当該地域において教育の欠如は、平和への妨げとなっています。
本案件では、ミンダナオ島コタバト州ピキット町を対象地域として、今年度中に「ダトゥ・ビトル・マンガンサカン記念高校」及び「マパグカヤ小学校」の2棟の「平和の学校建設」を行い、平和教育が導入される予定です。本事業が、地域の平和と安定に貢献することが期待されます。
実施団体であるアイキャンは、1994年から危機的状況にある子どもたちの生活改善に取り組んでいるNGOであり、主にフィリピン国内で様々な社会開発活動を展開しています。とりわけ、ミンダナオ島においては、先住民の子どもたちや紛争地の子どもたちとその地域を対象に、教室の建設、平和教育研修、通学補助、保健研修や生計向上研修等を行ってきました。
日本NGOによる途上国での開発事業を支援する日本NGO連携無償は、2002年から開始されました。フィリピンでは、現在までに計38件の贈与契約が締結されており、支援総額は約6億円に上っています。本件事業は我が国とフィリピンとの間の戦略的パートナーシップの更なる強化にも資するものです。