3月26日、石川和秀駐フィリピン大使は、日本国大使館において、被供与団体であるヴィンセンゾ・サグン市の市長(Ms. Merlinda Maata)との間で、標記案件に係る贈与契約に署名しました。 資金供与額は、94,748米ドル(約1,000万円) です。
(案件概要)
本案件では、ヴィンセンゾ・サグン市立診療所に外来診療棟を建設し、併せて診療に必要な医療機器・備品を整備します。外来診療棟を建設することで、より多くの患者の受け入れが期待されます。このような地域保健医療体制強化により、この地域のおよそ21,000人が裨益します。
同市には患者を収容できる既存の病院はなく、市立診療所が地域の保健医療サービスの大きな役割を担っています。住民の大部分は診療費を払うお金がなく、市立診療所で実施される無料診療サービスを受けていますが、診療所は既に老朽化し医療機器も古くなり、かつ、全ての患者を受け入れるスペースがないことが課題となっていました。
(被供与団体概要)
ミンダナオ島ザンボアンガ・デル・スール州の最南端に位置するヴィンセンゾ・サグン市は、14バランガイで構成された人口21,139名の沿岸の市です。同市はフィリピンにおいて最も貧しい地方自治体のひとつであり、貧困率は75.82%です。
同市の住民は漁業と農業に従事していますが、漁業地域が30,175ヘクタールにも及ぶため、多くの住民は漁業を主な収入源とし特産物の干物を他の地域に出荷しています。しかしながら、季節や時間によっては収穫のない時期があり、住民は僅かな収入しか得られません。したがって、更なる収入を確保するために住民は農業にも従事しています。同市の土地の79%(6,513ヘクタール)はココナッツのような多年生の作物で覆われており、それらの作物は、市場に出荷されると同時に住民の日々の食材になっています。
(草の根・人間安全保障無償資金協力)
草の根・人間安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に、計504件の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来より積極的に取り組んでおり、本件事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。