6月4日、当館寺田書記官は、北サマール州カタルマン町およびサンホセ町において、草の根・人間の安全保障無償資金協力事業である「ココナッツ・センター建設計画」、「ココナッツ加工機材整備計画」の引渡式に出席しました。
「ココナッツ・センター建設計画」引渡式典には、被供与団体である東フィリピン大学のデ・アシス学長ほか学校関係者が出席しました。本件事業は、2011年度に日本大使館により、この地域のためのココナッツ繊維製造技術訓練センターを建設するために、109,503米ドル(約1,300万円)が供与されたものです。東フィリピン大学(UEP)の敷地内に建設された当訓練センターでは、ココナッツ生産農家の所得を増加させるために、ココナッツ繊維を原料としたマット、カーペット、ロープ、ネット等様々な製品の製造技術を学ぶ機会が得られます。年間50以上の訓練コースが設けられ、約350名のココナッツ農家が受講する予定です。
「ココナッツ加工機材整備計画」引渡式典には、ラビン北サマール州副知事、ルソン・サンホセ町長、被供与団体である貧しい農民を助ける会のルソン会長、その他ココナッツ庁、貿易産業省、科学技術省、労働省の関係者が出席しました。本件事業は、サンホセ町を対象にココナッツの殻を原料とした繊維製品を製作するための機材を村単位に整備するものであり、供与金額は68,439.33米ドル(約840万円)です。ココナッツ繊維の生産によって、1,600名以上のココナッツ農家の生計が向上されます。
当館は、これらの事業を組み合わせることによって、北サマール州のココナッツ産業全体が振興することを期待しています。具体的には、供与された施設によって、先進国で使用され始めているココナッツ繊維でできた侵食防止マットや建設用資材に対する需要を取り込む機会が得られ、ココナッツ農家の収入が増加し、貧困に喘ぐこの地域の住民の生計向上につながるものと考えます。
草の根・人間安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に、計512件の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来から積極的に取り組んでおり、本件事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
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