10月1日、ミンダナオ島ダバオ・オリエンタル州ルポン町において、草の根・人間の安全保障無償資金協力事業として実施された「ルポン町における女性訓練施設整備計画」の引渡式が開催され、当館より渡邉卓弘書記官が出席しました。同式典には、被供与団体であるダバオ・オリエンタル・バンサモロ女性機構のタンダロング事務局長を始めとして、ロペス・MILF(モロ・イスラム解放戦線)政治委員会州委員長、リム・ルポン町長、タンブアン・バナイバナイ町長、マカロナ・イスラムコミュニティーリーダなどの関係者が出席しました。
本件事業は、J-BIRD(注1)の一環として、ダバオ・オリエンタル州バンサモロ地域のムスリム女性が手に職を付けて収入を得たいとの現地の強いニーズを踏まえ、女性を対象とした職能訓練施設および当該訓練に必要な機材を整備するものであり、2013年度に当館より108,932米ドル(約1,200万円)が供与されました。整備された施設は、訓練生50名を収容可能とし、洋裁、食品加工、石鹸・ろうそくの製造などに関する職能訓練が実施されます。当該職能訓練を受けることにより、より多くの女性の生計向上が見込まれ、女性の社会参加促進が期待されます。また、このプロジェクトが日本とフィリピンの人々の友好関係を密にするだけでなく、日本とフィリピンの戦略的パートナーの強化につながることを願っています。
なお、草の根・人間安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、フィリピンでは、1989年から現在に至るまでの間に、計512件の事業を実施いたしました。
(注1)我が国は、2006年よりミンダナオ和平支援案件をJ-BIRD (Japan-Bangsamoro Initiative for Reconstruction and Development)と総称し、元紛争地域に対する草の根・人間の安全保障無償資金協力など経済協力プロジェクトを集中的に実施しており、その総額はこれまで150億円以上になります。本年6月には、アキノ大統領の国賓訪日の際の日比首脳会談において、安倍総理大臣は、ミンダナオの永続的な和平について、フィリピンの取組への支持を表明するとともに、我が国は新自治政府設立を念頭にJ-BIRDⅡの支援を進める旨述べました。J-BIRDⅡとは、バンサモロ地域の経済的自立の確保に一層焦点を当ててJ-BIRDを新たなフェーズで進めるものです。
(了)