12月3日、ケソン州ルセナ市において、フィリピン共和国における有償資金協力(円借款)として実施される「灌漑セクター改修・改善事業(NISRIP)」の起工式が行われました。起工式には、当館寺田書記官及び上野JICAフィリピン事務所所員のほか、事業関係者、水利組合関係者約100人が集まりました。
本件事業は、日本からの61億8,700万円の借款を用いて、老朽化した既存の灌漑施設(ダム、水路、管理用道路、分水施設、調整ゲート等)の改修を行うことで灌漑施設の機能を回復させるとともに、併せて管理方法の改善(管理主体の変更、水利組合の強化)及び営農支援(パイロットファームを通じた近代的稲作方法の普及、水利組合関連施設の建設、精米施設の設置等)を行い、フィリピン全国の11サイト、灌漑面積35,670ha、農家戸数22,563戸、水利組合154組合の生産性向上、効率性改善及び米の品質向上を図ります。
今回の起工式を行ったケソン州ルセナ市の灌漑施設は、造成から約60年が経過し老朽化が進行しており、漏水の増加、灌漑可能農地面積の減少及び用水管理の困難化が発生しています。本件事業により、これらの諸課題への対応、施設管理体制の強化及び営農方法の改善を包括的に行うことにより、当該地域がフィリピン全国の模範となる優良な農業生産地になることが期待されます。
(了)