3月24日、石川和秀駐フィリピン大使は、マニラ首都圏のホテルにおいて、被供与団体であるコタバト地域医療センターのセンター長(Dr. Helen P. Yambao) との間で、標記案件に係る贈与契約に署名しました。 資金供与額は、102,138米ドル(1,000万円) です。
(案件概要)
本案件では、周産期医療体制強化を図り、コタバト地域医療センター助産施設において、診察に必要な医療機材及び備品を整備します。このような医療環境の改善により、多くの母子が裨益します。
同センターの中で最も患者数の多い施設は助産施設であり、毎日15-20人程度の患者が入院しています。2013年の入院患者数は7千名に及び、そのうち、通常分娩はおよそ4千名を数えるが、医療機器不足により、分娩における医療体制は十分ではありません。本来ならば防ぐことが可能であった胎児死亡が恒常的に起こっており、2013年には53例の胎児死亡が発生しており、医療施設の整備が課題となっていました。
(被供与団体概要)
コタバト地域医療センターは、ミンダナオ島北西部に位置し、1916年に設立された市立病院です。2007年には病床数が400床に増え、リジョンXII(南コタバト州、コタバト市、スルタンクダラット州、サランガニとジェネラルサントス市)及び、イスラム教徒ミンダナオ自治地域(マギンダナオ州)の貧しい住民に基本的な医療サービスを提供してきました。2010年のNSOの統計によれば、この地域の人口は736万人であり、このうちリジョンXIIでは37.1%、イスラム教徒ミンダナオ自治地域では48.7%が貧困層とみなされています。この地域の中核医療施設である同センターの患者数は年々増加しており、2011年におよそ3万3千名であった患者数は、2013年にはおよそ6万7千名に増加しました。
(草の根・人間安全保障無償資金協力)
草の根・人間安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に、計506件の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来より積極的に取り組んでおり、本件事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。