3月24日、石川和秀駐フィリピン大使は、マニラ首都圏のホテルにおいて、被供与団体であるキダパワン市の市長(Mr. Joseph Evangelista) との間で、標記案件に係る贈与契約に署名しました。 資金供与額は、92,785米ドル(約1,000万円) です。
(案件概要)
本案件では、パタドン小学校において、適切な学習環境を確保することを目的として、2校舎4教室の建設を実施します。このような学習環境の向上により、591名の生徒が裨益します。
現在、パタドン小学校は、武力衝突の影響を受けたマギンダナオ州及びコタバト州からの国内難民を受け入れたことに伴い、深刻な教室不足に陥っています。生徒の増加により、同学校の生徒は、屋外の集会所で授業を受け、かつ、1教室を2分した狭い教室で授業を受けるといった劣悪な学習環境に置かれています。
(被供与団体概要)
ミンダナオ島中部ダバオ市とコタバト市の間、ダバオ-コタバト道に沿って位置するキダパワン市の人口は、2010年のNSO統計によると、およそ12万5千人です。同市の56%にあたる18,998ヘクタールでドリアンや、ランブータン、マンゴー、マンゴスチン、ランゾネス、バナナを中心とした果樹栽培がおこなわれています。
キダパワン市は、深刻な教室不足に対応するために教育分野に対する支援を実施しています。同市には、現在、公立小学校が53校、公立中等学校が20校あり、1939年に設立され、2.5ヘクタールの敷地を有するパタドン小学校はそのひとつです。同小学校のあるパタドン地区はキダパワン市で唯一のバンサモロ自治政府への加入候補地であり、住民の9割以上が貧困状態にあります。キダパワン市は、この地区における教育アクセスの改善を図り、同学校を設立すると伴に、学生に対して学業が継続できるよう経済的に支援をしてきました。
(草の根・人間安全保障無償資金協力)
草の根・人間安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に、計508件の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来より積極的に取り組んでおり、本件事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。