2月5日、ミンダナオ島ザンボアンガ・シブガイ州ディプラハン町において、草の根・人間の安全保障無償資金協力事業として実施された「女性と子どものための保護施設整備計画」の引渡式が開催され、当館より渡邉卓弘書記官が出席しました。同式典には、被供与団体であるディプラハン町のジョア町長を始めとして、カストロ副町長及びアリフ・ミンダナオ和平国際監視団副団長などの関係者が出席しました。
本件事業は、J-BIRD(注1)の一環として、貧しさ故に家庭内暴力や虐待、その他の被害に晒されている女性や子どものために、安全を確保する保護施設及び社会復帰に向けた職能訓練に必要な機材等を整備するものであり、2012年度に当館より101,536米ドル(約820万円)が供与されました。整備された施設は、約60名を保護することが可能であり、専門医によるカウンセリングといった心身のケア・治療を行いつつ、手工芸及び食品加工に関する職能訓練の機会も提供しています。被害を受けた方々が安全な環境で生活しながら、当該職能訓練を受けることにより、将来的には女性の社会参加促進も期待されます。このプロジェクトが日本とフィリピンの人々の友好関係を密にするだけでなく、日本とフィリピンの戦略的パートナーの強化につながることを願っています。
なお、草の根・人間安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、フィリピンでは、1989年から現在に至るまでの間に、計512件の事業を実施いたしました。
(注1)我が国は、2006年よりミンダナオ和平支援案件をJ-BIRD (Japan-Bangsamoro Initiative for Reconstruction and Development)と総称し、元紛争地域に対する草の根・人間の安全保障無償資金協力など経済協力プロジェクトを集中的に実施しており、その総額はこれまで150億円以上になります。本年6月には、アキノ大統領の国賓訪日の際の日比首脳会談において、安倍総理大臣は、ミンダナオの永続的な和平について、フィリピンの取組への支持を表明するとともに、我が国は新自治政府設立を念頭にJ-BIRDⅡの支援を進める旨述べました。J-BIRDⅡとは、バンサモロ地域の経済的自立の確保に一層焦点を当ててJ-BIRDを新たなフェーズで進めるものです。
( 了 )