2月26日、石川和秀駐フィリピン大使は、日本大使館において、各日本NGO代表者(公益財団法人オイスカ、特定非営利活動法人アイキャン)との間で平成27年度日本NGO連携無償資金協力3件の贈与契約に署名しました。日本NGOによる途上国での開発事業を支援する日本NGO連携無償は、2002年から開始されました。フィリピンでは、現在までに計42件の贈与契約が締結されており、支援総額は約8億円に上っています。今回署名した案件は我が国とフィリピンとの間の戦略的パートナーシップの更なる強化にも資するものです。
各案件の概要は以下のとおりです。
1.災害に強い,森に守られた地域社会づくりプロジェクト =スーパー台風「ハイエン」からの復興=(第2期)
団体名:公益財団法人オイスカ
資金供与額:434,820米ドル(約4.86千万円)
本事業は、平成25年台風第30号(国際名「ハイエン」、フィリピン名「ヨランダ」)により甚大な被害を受けたレイテ州タナウアン町、パロ町及びイロイロ州アホイ町を対象として、被災を受け防災機能が低下した水源涵養林及び海岸林の再生を支援するとともに、被災者及び災害弱者の生計向上をはかるため営農指導、養禽、養蜂の支援等を行っている。
第一年次では、植林、アヒルの飼育及び養蜂の取組みを開始し、取組みを円滑に運ぶために組織づくりや技術的指導・研修を実施しました。第二年次に当たる本件事業では対象地にレイテ州タクロバン市及びパロ町を追加するとともに、植林、営農、養禽及び養鶏の対象を拡大し、食品加工の技術指導を新たに開始する予定です。
2.ミンダナオ島バンサモロにおける平和教育実施能力及び紛争調停能力強化事業(フェーズ2)
団体名:特定非営利活動法人アイキャン
資金供与額:514,759米ドル(約5.75千万円)
ミンダナオ島では、政府軍と反政府軍(MILF)との間で、40年にわたる武力衝突が続いてきました。本事業の事業対象地であるミンダナオ島コタバト州ピキット町の南西部には、MILF軍事キャンプがあり、過去に多くの国内避難民が発生しました。紛争を経験してきた子どもたちの多くは心の傷を負っています。また、紛争により何度も通学が妨げられ、地域に学校が整備されていません。当該地域において教育の欠如は平和の妨げとなっています。本事業は、ミンダナオ島コタバト州ピキット町を対象地域として、小学校や中等学校に校舎を建設するとともに平和教育を導入するものであり、地域の平和と安定に貢献することが期待されます。
第1年次では、ピキット町西部において教室建設や平和教育に係る研修が実施されました。第2年次に当たる本件事業では、ピキット町南部において同様の活動を実施する予定です。
3.ミンダナオ島ブキドノン先住民地域における教育課題解決能力強化事業
団体名:特定非営利活動法人アイキャン
資金供与額:318,520米ドル(約3.56千万円)
ミンダナオ島は、長年の紛争の影響により、フィリピンにおいて貧困率や保健・医療・教育インフラ等の整備が最低水準となっている地域です。中でも本事業の活動重点モデル地区であるミンダナオ島ブギノドン州サンフェルナンド町サルマヤグは、先住民グループの居住地域であり、先住民の大多数は初等教育を修了していないため読み書きや簡単な計算すらできません。本事業では、当該地域の小学校に教室を建設するとともに、先住民地域であるブキドノン州全体の教育能力強化・学校運営強化を目的とした研修を実施する予定です。本事業により、先住民が多く住む同地域の教育環境向上に貢献することが期待されます。
(了)