3月17日、石川和秀駐フィリピン大使は、日本大使館において、被供与団体であるマガリアネス町のラグラギオ町長との間で、標記案件に係る贈与契約に署名しました。 資金供与額は、98,776米ドル(約1,100万円) です。
(案件概要)
ルソン島南部ソルソゴン州に位置するマガリアネス町では、貧困状態の厳しさゆえ、町民の中等教育修了率は低く、多くの住民が十分な教育を受けられていません。このような状況に対処すべく、同町政府は、授業料の負担無く短期間で初等・中等教育を修了でき、職業訓練も受けられる代替教育制度(ALSプログラム)(※)を提供してきました。しかしながら、使用されている教室は老朽化が激しく、生徒の安全が脅かされています。更には、訓練機材が不足しており、代替教育学習環境の整備が喫急の課題となっていました。
本事業では、代替教育学習環境の改善を目的として、同町において、代替教育学習施設(1校舎2階建て)を建設し、代替教育の実施に必要な機材備品が整備されます。同町の初等・中等教育未修了者およそ2,895名が裨益し、生計向上に寄与することが期待されています。
草の根・人間安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に、計514件の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来より積極的に取り組んでおり、本件事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
(※) ALSプログラムとは、フィリピン教育省が管轄する代替教育制度(無料)であり、主に退学児童や学校に行く機会を逃した初等・中等教育未修了者を対象とした教育制度である。同制度では、普通教育に比べ短期間で普通教育と同等の卒業資格を得ることができます。プログラム後期には職業訓練も受けられることから、進学や職業選択の可能性の幅が広がることが期待される制度です。
(了)