1 社会・治安情勢
セブ州は世界的に著名な観光地を擁しており,治安当局が取締りに力を入れていることから,反政府組織のテロ活動も無く,また一般的な治安情勢は比国内では比較的治安が安定していると言われている。しかし,下記2.のとおり在留邦人及び邦人旅行者に対する犯罪被害が発生しており,決して安全とは言えない状況にあることからも,特に夜間の歓楽街や人通りの少ない通りの一人歩きを避ける等慎重に行動する必要がある。
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)フィリピン国家警察から入手したセブ州の犯罪統計によれば,2015年7月~9月における犯罪発生件数は以下のとおり。
(ア)殺人 126件(前期比:43.5%減)
(うちセブ都市圏(セブ,マンダウェイ,ラプラプの3市)で54件(前期比:26%減))
(イ)傷害 744件(前期比:63%減)
(うちセブ都市圏の3市で366件(前期比:62%減))
(ウ)強姦 116件(前期比:2.5%減)
(うちセブ都市圏の3市で55件(前期比:25%減))
(エ)強盗 835件(前期比:5.2%減)
(うちセブ都市圏の3市で477件(前期比:8.4%増))
(オ)窃盗 1,868件(前期比:10%減)
(うちセブ都市圏の3市で1287件(前期比:10%減))
(2015年7月~9月における犯罪件数総数は11,322件、前期比で1.06%減少,前年同期比で4.5%の増加)
(2)邦人被害事案
(ア)7月中旬,セブ市内の在留邦人宅で部屋に置いてあった鞄が盗まれた。
(イ)7月中旬,セブ市内において邦人留学生がハバルハバルに乗車したところ行き先と違う場所に連れて行かれ,拳銃を突きつけられ金銭を要求された。留学生は通りすがりの人に助けを求めたが,犯人は所持していた拳銃で留学生の足を狙撃し逃走した。
(ウ)7月下旬,ラプラプ市内において邦人旅行者がジプニーにて移動中,車内で比人男性に話かけられ応対し,目的地で下車したところ,バッグの中に入れてあった財布が無くなっているのに気が付いた。
(エ)8月中旬,セブ市内のモールにおいて在留邦人がひったくりに遭い,犯人と応戦し,警察に通報。犯人は駆け付けた警察官に取り押さえられ逮捕された。その後,当該邦人は犯罪グループの一味より電話・メールによる脅迫を受け,身の危険を感じたため帰国するに至った。
(オ)8月中旬,セブ国際空港内において邦人旅行者が空港内で両替のため,列に並んでいたところ何者かにショルダーバッグを開けられ中に入っていた旅券等が盗まれた。
(カ)9月上旬、セブ市内のレストランにおいて邦人旅行者が別々の席で食事中,テーブルの脇においたノートパソコンやハンドバッグが置き引きに遭う被害が連続して発生した。
(3)邦人以外の被害
(ア)7月初旬,セブ市内ITパークにおいて,比人男性が歩行中に何者かに銃撃され,死亡する事件が発生した。犯人は銃撃後バイクで逃走した。
(イ)7月中旬,セブ州バランバン町からセブ市内に向かって走行していた乗用車(比人5人が乗車)に2人組の乗ったバイクが接近し乗用車を停止させた。2人組は所持していた拳銃で5人を脅迫し現金,その他電子機器の携行品を強奪した。
(ウ)7月下旬,セブ市バニラッド地区の美容室駐車場において,比人女性が車両を駐車場に駐車させた際、ドア・ロックを忘れたため車内においてあった現金,その他の物品(携帯電話)等の車上荒らしの被害に遭った。
(エ)8月中旬,マンダウエイ市において比人弁護士3人(男性2人,女性1人)が勤務を終え帰宅途次にバイクに乗った2人組に銃撃を受け,女性が死亡,男性2人が重傷を負う事件が発生した。
(オ)8月中旬,セブ州トリド市において,雑貨店を経営する比人夫婦が閉店の準備をしていたところ,バイクに乗った2人組に銃を突きつけられ売上金を強奪された。
(カ)9月上旬,マンダウエイ市のモールにおいて比人男性より3,000ペソの両替を頼まれ右に応じたところ,買い物を終え支払いをした際店員より偽札と指摘され,検視したところ全て偽札と判明した。(容疑者、被害者とも比人男性)
(キ)9月中旬,セブ国際空港に早朝到着した中国人観光客4人が空港より運転手付きレンタカーを借り上げ,セブ州バンタヤン市に向かう行く途中2人乗りのバイクが近づいて来て,銃を突きつけられ停車するよう命ぜられた。停車後,車内に乗り込まれ現金及び電子機器を強奪し逃走した。警察の調査によればレンターカー運転手,バイクの2人組は同じ恐喝グループの一味であった。
3 テロ・爆弾事件発生状況
事件の発生は報告されていない。
4 誘拐・脅迫事件発生状況
事件の発生は報告されていない。
5 日本企業の安全に関する諸問題
特段の問題は報告されていない。
(了)