1.社会・治安情勢
(1) ミンダナオ島各域に於いて,依然として国軍治安部隊と比共産党の軍事部門・新人民軍(NPA)やイスラム過激派・アブ・サヤフ・グループ(ASG),イスラム急進派「バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)など,武装集団との交戦が頻発している。
(2) 10月10日,在フィリピン米国大使館は,自国民向けの緊急メッセージ出し,「安全面での新たな脅威」を理由に,ミンダナオ地方一部地域への渡航自粛を呼びかけた(当館からもスポット情報を発出)。
2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1) ダバオ市警の第3四半期(10月~12月)の犯罪発生件数報告によれば,総犯罪発生件数は2,352件と前期(7月~9月)と比較して62%増となっており,特に強盗,窃盗の増加が見て取れる。犯罪種別の内訳は以下のとおり。
謀殺 42件(前期比12%減)
殺人 13件(同86%増)
身体的被害 773件(同50%増)
強姦 28件(同12%増)
強盗 376件(同67%増)
窃盗 1113件(同78%増)
車両盗難 7件(同75%増)
家畜泥 0件(増減なし)
(2)邦人被害事案
特になし。
3.テロ・爆弾事件発生状況
(1) 10月21日,コタバト州トゥルナン町ルナノルテとルナスールの境界付近を走行していたトラックが地雷の爆発に巻き込まれ,国軍兵士1人が死亡,5人が負傷した。
(2) 12月31日,バシラン州スミシップ町で,政府系民兵組織に所属する男性宅付近で手投げ弾が爆発し,5人が死亡,5人が負傷した。死傷者の大半は,男性宅近くにあるカトリック教会で大晦日のミサを終えた信者だった。
(3) 12月31日,コタバト州カルメン町内のカトリック教会付近で,何者かが手榴弾を投げつけ爆発,ミサ出席のため教会に入ろうとした信者5人が負傷した。
(4) 12月31日,南アグサン州ラパ町の果物などの露店が建ち並ぶ地域で手投げ弾が炸裂し,買い物客7人が負傷した。
4.誘拐・脅迫事件発生状況
(1) 10月5日,南サンボアンガ州で,中国系比人の男性実業家(37)が拉致され,犯人とみられる人物から身代金50万ペソを要求する電話連絡が家族に入った。
→11月13日,無事解放された旨の報道。身代金支払いの有無は不明。
(2) 10月15日,スルー州シアシ町の民家で,フィリピン人男性4人が武装集団に拉致された。内2人は16日午後1時半頃,同州インダナン町で,国軍に保護された。
(3) 10月22日,スルー州パティクル町で,化学系企業の男性社員(29)が武装した7人組に拉致された。
(4) 10月27日,バシラン州イサベラ市で,同州ラミタン市タンドゥンアハス・バランガイ(最小行政区)の現職の男性議長が車に乗って走行中,バン型乗用車とオートバイに分乗した武装グループに行く手を遮られ,同議長が無理矢理バンに乗せられて誘拐された。
(5) 11月5日,スルー州パティクル町の路上で,日本の大手電機メーカーNECの下請け電気通信企業の比人社員2人がイスラム過激派アブサヤフとみられる10人組の武装集団に拉致された。
(6) 11月15日,マレーシア・サバ州で,同州を観光していた台湾人夫妻が武装集団に襲われ,夫は銃撃を受け死亡,女性が拉致された。
→12月20日,スルー州タリパオ町近郊で,行方不明になっていた台湾人女性(58)が1ヶ月ぶりに保護された。
(7) 11月21日,スルー州パティクル町バンカルで,同州政府職員で出納係の男性(60)が,イスラム過激派アブサヤフとみられる武装集団8~10人に拉致された。
(8) 11月27日,南サンボアンガ州ラバンガン町で広大な稲田を所有している地主の息子(31)が何者かに拉致され,犯人は親族へ電話し身代金を要求した。要求額は不明。
(9) 12月18日,サンボアンガ市リマオンで,公立小学校の女性教員(23)が,武装集団に拉致され,小型ボートで連れ去られた。
5.日本企業の安全に関わる諸問題
特になし