1.社会・治安情勢
(1) ミンダナオ島各域に於いて,依然として国軍治安部隊と比共産党の軍事部門・新人民軍(NPA)やイスラム過激派・アブ・サヤフ・グループ(ASG),イスラム急進派「バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)など,武装集団との交戦が頻発している。
(2) 1月25日、フィリピン政府と反政府武装勢力モロ・イスラム解放戦線(MILF)とのミンダナオ和平交渉が終結したことを受け、これに反対するバンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)を含む反政府武装勢力の活動が活発化することが懸念されることからスポット情報を発出した。
(3) 3月22日、フィリピン国軍と国家警察の共同作戦によりフィリピン共産党党首及び同幹部が逮捕されたことを受け、フィリピン共産党の軍事部門・新人民軍(NPA)による報復的ゲリラ活動が活発化する恐れがあることからスポット情報を発出した。
2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1) ダバオ市警の第4四半期(1月~3月)の犯罪発生件数報告によれば,総犯罪発生件数は1,835件と前期(10月~12月)と比較して22%減となっているが,殺人、強姦、強盗は増加が見て取れる。犯罪種別の内訳は以下のとおり。
謀殺 32件(前期比24%減)
殺人 25件(同92%増)
身体的被害 642件(同17%減)
強姦 52件(同86%増)
強盗 301件(同20%増)
窃盗 774件(同30%減)
車両盗難 8件(同14%増)
家畜泥 1件(同100%増)
(2)邦人被害事案
1月31日深夜、南ダバオ州マリタ町ボブラシオンで、日本人男性が首を刃物で刺されるなどして殺害された。国家警察は殺人容疑で比人妻(30)と妻の甥(24)、その友人(24)を逮捕、実行犯と見られる甥と友人は犯行を認めている。
3.テロ・爆弾事件発生状況
(1) 1月12日、コタバト州アラカン町の公立大学で、何者かが仕掛けた手投げ弾が爆発し、警官1人を含む25人が負傷した。
(2) 1月28日、マギンダナオ州ダトゥピアン町で、ゴミ置き場に仕掛けられた手製爆弾が爆発、付近にいた少女と36歳の女性が負傷した。
(3) 2月1日、マギンダナオ州ダトゥサリボ町サルブで、巡回中の国軍部隊の車列近くで手製爆弾が爆発し、近くに居合わせた報道関係者2人を含む民間人6人と国軍兵士6人が爆弾の破片を受けるなどして負傷した。
(4) 2月2日、サンボアンガ市タロンタロンにあるカトリック教会跡地で、手投げ弾が爆発し、敷地内にいた住民3人が負傷した。
(5) 2月4日、マギンダナオ州ママサパノ町トゥカで、手製爆弾が爆発した。死傷者はなかった。
(6) 2月5日、コタバト州カバカン町の液化石油ガス(LPG)販売店前で爆発物が炸裂し、付近にいた民間人2人が負傷した。
(7) 2月10日、マギンダナオ州スルタンクダラット町で、国家送電公社(NGCP)の鉄塔が爆破された。
(8) 2月27日、コタバト州プレジデントロハス町で、同町長を乗せた公用車など2台が走行中、地雷が爆発し、同行していた警官3人が負傷した。
(9) 3月2日、南ダバオ州バンサラン町マナガで、地雷が2回相次いで爆発し、国軍兵士11人を含む17人が負傷した。
同日、同バランガイ(最小行政区)で、救急車3台が走行中に路肩で地雷が爆発、5人が負傷した。
4.誘拐・脅迫事件発生状況
(1) 2月16日、スルー州ホロ町で、フィリピン人夫婦がイスラム過激派アブサヤフとみられる武装集団に拉致された。
(2) 2月27日、北サンボアンガ州パガディアン市ガタスディストリクトで、路上を歩いていた比系中国人学生(19)が複数の男性らに拉致された。
→2月28日、サンボアンガシブガイ州イメルダ町で無事保護された。
(3) 3月3日、スルー州ホロ町で、家政婦と専用運転手が10歳と8歳の児童2人を同州パティクル町の小学校へ車で送る途中、5人組の武装集団に拉致された。
→3月12日、スルー州パティクル町の路上で解放された。
(4) 3月5日、スルー州パティクル町で、小学校の男性教員がイスラム過激派アブサヤフとみられる武装集団に拉致されたが、約17時間後に同町カダンマンパランで解放された。
(5) 3月31日、バシラン州スミシップ町リブグの路上で、ジプニーで移動中の同町マンガル小学校の女性校長(60)がイスラム過激派アブサヤフとみられる武装集団に拉致された。
→4月3日、無事解放された。
5.日本企業の安全に関わる諸問題
1月18日、ブキドノン州バレンシア市バロボにある住友商事の関連企業「スミフル・フィリピン」の農業関連施設が、フィリピン共産党の軍事部門・新人民軍(NPA)の構成員約15人に襲撃され、バナナの集出荷施設やトラック、重機が放火された。人的被害は無かった。
以上