1.社会・治安情勢
(1) ミンダナオ島各域に於いて,依然として国軍治安部隊と比共産党の軍事部門・新人民軍(NPA)やイスラム過激派・アブ・サヤフ・グループ(ASG),イスラム急進派「バンサモロ・イスラム自由戦士団(BIFF)など,武装集団との交戦が頻発している。
(2) ミンダナオ島南西部及びその海域周辺において,ASGまたはASGとみられる武装グループによる外国人誘拐事件がたびたび発生していることから,5月27日にスポット情報を発出した。
(3) 3月22日のフィリピン共産党党首の逮捕,NPAの拠点への治安作戦等に対し,コンポステラバレー州やコタバト州,サンボアンガ市等で,NPAによる報復ゲリラ活動とみられる事件が多発したことから,あらためて6月5日にスポット情報を発出した。
(4) フィリピン政府は,インドネシアを拠点とするジュマ・イスラミーヤ(JI)とつながりのあるイスラム反政府勢力が,ダバオ市等において自動車爆弾や自家製爆弾によるテロを行う可能性があるとの信頼度の高い情報を入手したと発表したことから,6月30日にスポット情報を発出した。
2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1) ダバオ市警の第1四半期(4月~6月)の犯罪発生件数報告によれば,総犯罪発生件数は2,010件と前期(1月~3月)と比較して約9.5%増となっており,謀殺,強姦,窃盗に増加が見られる。犯罪種別の内訳は以下のとおり。
謀殺 48件(前期比50%増)
殺人 16件(同36%減)
身体的被害 697件(同8.6%増)
強姦 66件(同27%増)
強盗 293件(同2.7%減)
窃盗 885件(同14.3%増)
車両盗難 5件(同37.5減)
家畜泥 0件(同100%減)
(2)邦人被害事案
特になし
3.テロ・爆弾事件発生状況
(1) 4月3日,サンボアンガシブガイ州トゥンガワン町サンイシドロで,道を歩いていた農民ら6人が,複数の男性に突然手投げ弾を投げ込まれ,爆発に巻き込まれて2人が負傷した。
(2) 5月3日,サンボアンガ市で,手投げ弾が炸裂し,19歳の男性が死亡,6人が負傷した。
(3) 5月23日,コンポステラバレー州モンカヨ町で,道路脇に仕掛けられた手製爆弾が爆発し,警官4人を含む8人が負傷した。
(4) 5月31日,スルタンクダラット州ランバヨン町ポブラシオンのバランガイ(最小行政区)議長の自宅前で爆発があり,駐車中のトラックが損傷した。
4.誘拐・脅迫事件発生状況
(1) 4月1日,北サンボアンガ州シオコン町で,中国系フィリピン人の男性(27)が武装した6人組に拉致された。
→4月13日,サンボアンガ市ラブアンの海岸近くで解放された。
(2) 5月3日,コンポステラバレー州マビニ町で,フィリピン共産党の軍事部門・新人民軍(NPA)とみられる武装集団約40人が,鉱山会社の関係者ら39人を人質にとって同町内で立てこもった。
→5月5日午前には全員が解放された。
(3) 6月19日,北ラナオ州パンタオラガット町で,女性教師とその夫が何者かに拉致された。
5.日本企業の安全に関わる諸問題
特になし
以上