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海外安全対策情報

(2016年1月~3月分)

在フィリピン日本国大使館

 

 

1 社会・治安情勢
(1)一般治安情勢
(ア)フィリピンにおいては引き続き強盗・窃盗事件や銃器を使った殺人事件が多発している。特にマニラ首都圏においては,邦人観光客が睡眠薬強盗やタクシー強盗などのほか窃盗・スリ被害に遭う事例が跡を絶たない。また,現職警官や偽警官による強盗事件,さらには主要空港の税関職員や保安検査職員による恐喝事件も発生しており,十分な注意が必要である。
(イ)フィリピンにおいては銃規制の緩さから些細なことでも生死にかかわる事態に発展する危険性があることを十分認識し,特に夜間は歓楽街や人通りの少ない裏通りの一人歩きを避ける,万一被害に遭遇した際は無理な抵抗はせず冷静に対処する,口論や争いを避け他人の恨みを買わないよう言動に注意する,など慎重に行動する必要がある。
(2)政治的安定度
2010年6月に就任したアキノ大統領は,汚職,腐敗の撲滅,治安強化及びミンダナオ和平推進を重要政策として掲げ,国民からの高い支持率を背景にこれまで安定的に政権を運営してきている。
(3)反政府勢力の動き
(ア)イスラム系反政府武装勢力
2014年3月,比政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)は包括和平合意に署名し,最終和平合意へ向けた移行作業が本格化するなか,モロ民族解放戦線ミスアリ派(MNLF-MG)やバンサモロ・イスラム自由戦士団(BIFF)等,政府とMILFの和平プロセスに不満を抱く反政府武装勢力がミンダナオ地方において国軍や警察等治安機関と衝突をたびたび繰り返しており,ミンダナオ地方の治安情勢については依然として不安定要素が大きい。また,アキノ政権中でのバンサモロ基本法の可決が困難となり,和平プロセスは次期政権に引き継がれることになるなど,依然として不安定な状況にある。その他,イスラム武装勢力アブ・サヤフ・グループ(ASG)も引き続き国軍等治安部隊との間で交戦しており,また,ミンダナオ西部地域等において資産家や外国人を誘拐するなど,これら反政府武装勢力の動きも予断を許さない状況にある。
また,BIFFやASGなどのイスラム武装組織は,シリア・イラクにおいて活動するイスラム過激派組織「イラクとレバントのイスラム国(ISIL)」等と同盟を結んだと主張ないし表明しているほか,ISILに忠誠を誓ったとする武装集団・組織がリクルート活動も行っており,今後もISILに呼応し,外国人誘拐,テロ活動を活発化させる危険性があるなど,フィリピンにおいてもISILへの影響が徐々に強くなってきていることから,十分な注意が必要である。ISILはかねてより日本人の継続的殺害を表明していることに加え,昨年9月,ISILが機関誌「ダービク」にてマレーシアやインドネシア等の日本の外交使節を標的としたテロ攻撃を呼びかけたことにも十分留意する必要がある。
(イ)共産系反政府武装勢力
フィリピン共産党(CPP)の武装組織である新人民軍(NPA)は,ミンダナオ地域,ルソン地域及びビサヤ地域の広い範囲で国軍や警察等治安機関と頻繁に交戦しており,また「革命税」の支払を拒否する企業への襲撃・恐喝,資金獲得の為の誘拐等を継続して行っている。2014年3月のフィリピン治安当局によるフィリピン共産党(CPP)党首及び同幹部の逮捕以降も,幹部の逮捕が続いていることなどを理由に,NPAが報復的ゲリラ活動を活発化させるおそれもあることから,引き続き十分な注意が必要である。
(4)対日感情
 概ね良好である。

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向(統計取り寄せ中)
(1)フィリピン国家警察が発表した犯罪統計によれば,2016年1月から3月の犯罪種別の内訳は以下のとおり。
殺人 2,632件(うち殺人2,136件,傷害致死・過失致死496件)
傷害・殺人未遂 9,237件
強姦 2,413件
強盗 6,433件
窃盗・スリ・ひったくり 14,948件
車両強盗 2,827件
(2)邦人被害事案
(ア)1月~3月,首都圏マニラ市の飲食店やマカティ市で睡眠薬強盗被害が多発。フィリピン人に声をかけられ,飲食を共にしたところ,意識を失い,現金や携帯電話を盗まれたり,カードで現金を引き出されるもの。犯行グループは,若い女性,男性から高齢女性まで多様。
(イ)1月~3月,首都圏のレストランやホテル等で置き引き被害が多発。犯行グループは客を装いレストランに入り,レストラン従業員の気を引くなど役割分担をして,客が足下に置いた鞄等を置き引きしている。
(ウ)1月~3月,観光地や交通機関内等でスリ被害が多発。
(エ)1月~3月,首都圏の路上でひったくり被害が多発。バイクに乗った男にいきなりかばん等をひったくられるもの。
(オ)2月上旬,ルソン地方ブラカン州プラリデル町の民家で,邦人男性が二人組の男に銃撃され重傷。
(3)邦人以外の被害事案
(ア)3月上旬,ミンダナオ地方サンボアンガ市で,イスラム学研究者であるサウジアラビア人男性と在比サウジアラビア大男性職員が,三人組の男に銃撃され負傷。
(イ)2月下旬,ルソン地方バタンガス州タリサイ町の高級リゾートホテルで,イギリス人観光客6人が,現金,ノートパソコンを盗まれる盗難被害に遭う。

3 テロ・爆弾事件発生状況
(1)2月上旬,ミンダナオ地方スルタングラット州タクロン町で,車に仕掛けられたIED爆弾が爆発し,3名が負傷。
(2)2月上旬,ミンダナオ地方スールー州タリパオ町で,道路脇にあった爆弾が爆発し,海兵隊7名が負傷。
(3)2月中旬,ミンダナオ地方マギンダナオ州サルブ町で,道路脇の爆弾が爆発し,4名が死亡し,2名が負傷。
(4)2月下旬,ミンダナオ地方スルタンクダラット州エスペランザ町で,町のカーニバル中に手榴弾が投げ込まれ,1名が死亡し18名が負傷。
(5)3月上旬,ミンダナオ地方南ラナオ州ブティグ町で,国軍の作戦にて,ISIL同調者とみられる24名を殺害し,軍兵士も6名が死亡,12名が負傷。
(6)3月上旬,ミンダナオ地方コタバト州アレオサン町で,武将集団が鉄塔を爆破させ,鉄塔の支柱2本が損傷し停電。
(7)3月上旬,ミンダナオ地方マギンダナオ州ギンドゥルンガン町で,BIFFと見られる武装集団がIED爆弾を爆発させ,警官2名が負傷。
(8)3月下旬,ルソン島ソルソゴン州のウニオン町,サンガト町,グバト町でNPAと国軍との衝突が発生し,IED爆弾爆発により7名が負傷。

4 誘拐・脅迫事件発生状況
主に実業家,資産家を狙った身代金目的の誘拐事件は,引き続きミンダナオ地方を中心にフィリピン国内で多く発生している。
今後,ASGなどのイスラム過激派がISILに呼応し,外国人誘拐,テロ活動を活発化させる危険性があることから,十分な注意が必要である。
(1)2月中旬,バシラン海峡沖で,漁師2名が武装集団に拉致される。
(2)3月下旬,ASGがマレーシア国境付近の海で,タグボートに乗り組んでいたインドネシア人10名を拉致した。

5 日本企業の安全に関する諸問題
当地においては,一般的に企業及び個人に対する恐喝,脅迫,誘拐等が少なくなく,日系企業(社員)に対する脅迫事件も発生するなど,進出日系企業関係者は,企業自体及び社員の安全に関し常時注意を要する。特に,NPAは,マニラ首都圏やセブ首都圏などの都市部を除き,地方に展開する民間企業に対して,環境破壊,住民搾取等の名目で「革命税」を要求し,企業側が応じない場合には,企業への脅迫,恐喝等の行為や襲撃等を繰り返していることから,現地採用職員の動向も含め,日頃から情報収集を行うなど十分な注意が必要である。また,首都圏から遠隔地に所在する日系企業では,上述1(3)のとおりASG等イスラム系反政府武装勢力の動向には細心の注意を要する。


以上

 


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