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海外安全対策情報
(2013年10月~12月分)

在フィリピン日本国大使館

 

 

1.社会・治安情勢
(1)一般治安情勢
フィリピンでは例年,クリスマス・シーズンが近づくにつれ,スリ,置き引き,窃盗,強盗等の犯罪が多発する傾向にあり,本年10月~12月においても強盗・窃盗事件や銃器を使った殺人事件が多発した。
マニラ首都圏,特にマニラ市エルミタ地区やマラテ地区,マカティ市においては短期滞在の旅行者を狙った強盗,窃盗事件が連日発生しており,邦人観光客が睡眠薬強盗や窃盗被害に遭う事例が後を絶たない。また,現職警官や偽警官などによる強盗,恐喝事件も発生しており,十分な注意が必要である。
なお,フィリピンにおいては銃規制の緩さから些細なことでも生死にかかわる事態に発展する危険性があることを十分認識し,特に夜間は歓楽街や人通りの少ない裏通りの一人歩きを避ける,万一被害に遭遇した際は無理な抵抗はせず冷静に対処する,口論や争いを避け他人の恨みを買わないよう言動に注意する,など慎重に行動する必要がある。
(2)政治的安定度
2010年6月に就任したアキノ大統領は,国民からの高い支持率を背景に,汚職,腐敗の撲滅,治安強化及びミンダナオ和平推進を重要政策として掲げており,昨年5月の中間選挙においても政権与党が勝利するなど,安定的に政権を運営してきている。
(3)反政府勢力の動き
比政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)との間の和平合意に向けた協議は最終局面を迎えているが,モロ民族解放戦線(MNLF)やバンサモロ・イスラム自由運動(BIFF)等,政府とMILFの和平プロセスに不満を抱く反政府武装勢力がミンダナオ地方において国軍施設を攻撃するなど国軍や警察等治安機関と衝突を繰り返しており,ミンダナオ地方の治安情勢については依然として不安定要素が大きい。
その他,アブ・サヤフ・グループ(ASG)やジュマ・イスラミヤ(JI)などイスラム武装勢力も引き続き国軍等治安部隊との間で交戦しており,また,サンボアンガ半島地域等において資産家や外国人誘拐を計画するなど,これら反政府武装勢力の動きも予断を許さない状況にある。 
さらに,共産主義武装勢力である新人民軍(NPA)は,ミンダナオ地域,ルソン地域及びビサヤ地域の広い範囲で国軍や警察等治安機関と交戦し,また「革命税」の支払を拒否する企業への襲撃,資金獲得の為の誘拐等を継続して行っており,引き続き十分な注意が必要である。
(4)対日感情
 概ね良好である。

 

2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)フィリピン国家警察が発表した犯罪発生件数によれば,2013年10月から12月の犯罪種別の内訳は以下のとおり。
 殺人 4,222件
 殺人未遂 56,371件
 強姦 1,971件
 強盗 14,621件
 窃盗・スリ・ひったくり 39,217件
 車両強盗 3,652件
(2)邦人被害事案
(ア)10月中・下旬,首都圏マニラ市の路上で邦人男性観光客が警官を名乗る武装した男性3人組に言いがかりをつけられ,車に連れ込まれるなどして現金や携帯電話などを強奪される事件が相次いで発生。
(イ)11月中旬,首都圏マカティ市内の路上で邦人ビジネスマンがバイクに乗った犯人に現金等の入ったバッグをひったくられる。
(ウ)12月上旬,首都圏マニラ市内のリサール公園を散策していた邦人男性観光客が比人男女数人に声をかけられ,一緒に食事をとったところ意識を失い,所持品を盗まれる。
(エ)12月中旬,首都圏マニラ市エルミタ地区の商業施設ロビンソンモール付近において置き引き,ひったくり,スリが相次いで発生。
(オ)12月下旬,マニラ国際空港からタクシーに乗車した邦人留学生がタクシー運転手に拳銃を突きつけられ,所持品を強奪される。
(3)邦人以外の被害事案
(ア)10月上旬,ルソン地方ケソン州で貸金業を営んでいたインド人実業家が武装した2人組に射殺される。
(イ)10月中旬,首都圏マニラ市でドイツ人学生が鉄道駅で知り合った比人女性と飲食を共にしたところ,急に意識がなくなり,現金等を強奪された。
(ウ)10月下旬,首都圏マニラ市で豪州人男性が強盗に拳銃で撃たれ重体。
(エ)11月上旬,約30人の乗客が乗った長距離バスが拳銃や刃物を持った強盗4人組に襲撃され,金品等を奪われる。
(オ)12月下旬,首都圏マカティ市で質屋の女性店員がバイクに相乗りした2人組に現金を奪われ,抵抗したため射殺される。

 

3.テロ・爆弾事件発生状況
(1)10月上旬,首都圏タギッグ市において手榴弾が爆発し,住民ら9人が重軽傷。
(2)10月中旬,マニラ国際空港において航空機に爆弾を仕掛けたとの通報あり。爆弾処理班が確認するも不審物は発見されなかった。
(3)11月上旬,首都圏ケソン市の公的機関に対し,トイレ内に爆発物を仕掛けたとの脅迫電話があり確認したところ,火薬の抜かれた手榴弾1発を発見。
(4)12月下旬,ミンダナオ地方コタバト州カルメン町においてカトリック教会付近で手榴弾が爆発し、カトリック信者5名負傷。
(5)12月下旬,ミンダナオ地方南アグサン州ラパ町内の商店街で手榴弾が爆発し、買い物客ら7名負傷。

 

4.誘拐・脅迫事件発生状況
主に実業家,資産家を狙った身代金目的の誘拐事件は,引き続きミンダナオ地方を中心にフィリピン国内で多く発生している。こうした中,昨年12月には首都圏パラニャーケ市において実業家の邦人男性が武装集団に拉致される事件も発生した。
なお,在フィリピン日本国大使館では,サンボアンガ市においてアブ・サヤフ・グループ(ASG)が日本人を標的とした誘拐計画を立てているとの情報に接し,昨年5月,在留邦人に対して注意喚起を行っており,引き続き十分な注意が必要である。
(1)10月上旬,ミンダナオ地方南サンボアンガ州で中国系比人の実業家男性が何者かに拉致される。
(2)10月中旬,ルソン地方リサール州で拉致された比人女性が首都圏ケソン市内でバラバラ遺体で発見される。
(3)10月下旬,ミンダナオ地方コタバト州でインド人実業家が武装集団に拉致される。
(4)11月上旬,ミンダナオ地方スールー州で日系企業の下請けで電気通信作業を行っていた比人2名がASGとみられる武装集団に拉致される。
(5)12月中旬,首都圏パラニャーケ市で実業家の邦人男性が武装集団に拉致される(4日後に解放)。

 

5.日本企業の安全に関する諸問題
当地においては,一般的に企業及び個人に対する恐喝,脅迫,誘拐等が少なくなく,日系企業(社員)に対する脅迫事件も発生するなど,進出日系企業関係者にとっては,企業自体及び社員の安全に対しては常時注意を要する。特に,NPAは,環境破壊,住民搾取等の名目で「革命税」を民間企業に要求し,企業側が応じない場合には,企業への脅迫,恐喝等の行為や襲撃するなどしていることから,現地採用職員の動向も含め,日頃から情報収集を行うなど十分な注意が必要である。

 


以上


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