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海外安全対策情報
(2014年1月~3月分)

在フィリピン日本国大使館

 

 

1.社会・治安情勢
(1)一般治安情勢
フィリピンにおいては引き続き強盗・窃盗事件や銃器を使った殺人事件が多発している。マニラ首都圏,特にマニラ市エルミタ地区やマラテ地区,マカティ市においては短期滞在の個人旅行者を狙った強盗,窃盗事件が多発しており,邦人観光客が睡眠薬強盗や窃盗被害に遭う事例が跡を絶たない。また,現職警官や偽警官などによる強盗,恐喝事件も発生しており,十分な注意が必要である。
なお,フィリピンにおいては銃規制の緩さから些細なことでも生死にかかわる事態に発展する危険性があることを十分認識し,特に夜間は歓楽街や人通りの少ない裏通りの一人歩きを避ける,万一被害に遭遇した際は無理な抵抗はせず冷静に対処する,口論や争いを避け他人の恨みを買わないよう言動に注意する,など慎重に行動する必要がある。
(2)政治的安定度
2010年6月に就任したアキノ大統領は,国民からの高い支持率を背景に,汚職,腐敗の撲滅,治安強化及びミンダナオ和平推進を重要政策として掲げており,昨年5月の中間選挙においても政権与党が勝利するなど,これまで安定的に政権を運営してきている。
(3)反政府勢力の動き
3月27日,比政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)は包括和平合意書に署名した。今後最終和平合意へ向けた移行作業が本格化することとなるが,モロ民族解放戦線(MNLF)やバンサモロ・イスラム自由戦士団(BIFF)等,政府とMILFの和平プロセスに不満を抱く反政府武装勢力がミンダナオ地方において国軍や警察等治安機関と衝突を繰り返しており,ミンダナオ地方の治安情勢については依然として不安定要素が大きい。
その他,アブ・サヤフ・グループ(ASG)やジュマ・イスラミヤ(JI)などイスラム武装勢力も引き続き国軍等治安部隊との間で交戦しており,また,サンボアンガ半島地域等において資産家や外国人誘拐を計画するなど,これら反政府武装勢力の動きも予断を許さない状況にある。 
さらに,フィリピン共産党(CPP)の武装組織である新人民軍(NPA)は,ミンダナオ地域,ルソン地域及びビサヤ地域の広い範囲で国軍や警察等治安機関と交戦し,また「革命税」の支払を拒否する企業への襲撃,資金獲得の為の誘拐等を継続して行っている。3月22日,フィリピン国軍(AFP)及び国家警察(PNP)は,共同作戦により,フィリピン共産党(CPP)党首及び同幹部を逮捕した。この結果,NPAによる報復的ゲリラ活動が活発化するおそれがあり,今後十分な注意が必要である。
(4)対日感情
 概ね良好である。

 

2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)フィリピン国家警察が発表した犯罪発生件数によれば,2014年1月から3月の犯罪種別の内訳は以下のとおり。
殺人 4,462件
殺人未遂 61,487件
強姦 2,444件
強盗 14,352件
窃盗・スリ・ひったくり 44,446件
車両強盗 2,808件
(2)邦人被害事案
(ア)1月~3月,首都圏マニラ市マラテ地区およびエルミタ地区の路上で邦人男性観光客が警官を名乗る男性3人組に「路上にたばこを捨てた」などと言いがかりをつけられ,現金や携帯電話などを強奪される事件が相次いで発生。
(イ)1月中旬,午後7時頃,マカティ市リトル東京内のレストランで食事をしていた邦人女性観光客が現金等の置き引き被害。
(ウ)2月中旬,首都圏マニラ市エルミタ地区のホテル客室内で邦人女性が外出していた間に何者かに財布を抜き取られる。
(エ)3月上旬,邦人男性観光客がマラテ地区の飲食店で知り合った比人男性にいかさま賭博に誘われ,現金をだまし取られる。
(オ)3月中旬,邦人男性観光客が首都圏マニラ市のリサール公園近くのファストフード店内で声をかけてきた比人女性3人と一緒にビールを飲んだところ意識を失い,所持品を盗まれる。
(3)邦人以外の被害事案
(ア)1月上旬,ルソン地方パンパンガ州アンヘレス市で韓国人男性がバイクに相乗りした武装した犯人に襲撃され,現金を強奪される。韓国人男性は重傷。
(イ)1月下旬,首都圏マンダルーヨン市内を走行中のジプニー(乗り合いバス)に客を装って乗車していた強盗が乗客にナイフを突きつけ,現金を強奪。
(ウ)2月中旬,豪州人男性がマニラ空港到着後,空港タクシーに乗車したところ,運転手らに現金等を強奪される。
(エ)2月下旬,ルソン地方パンパンガ州マバラカット町のスーパーマーケット前で,英国人男性夫妻がバイクに乗った強盗の銃撃を受け,バッグを強奪される。
(オ)3月上旬,マニラ首都圏で韓国人女性留学生がタクシーに乗車中,何者かに誘拐され,約1ヶ月後に遺体で発見される。
(カ)3月下旬,日曜日の午後,多くの買い物客で賑わう大型ショッピングモール「モール・オブ・アジア」内宝石店に複数の強盗が押し入り,駆けつけた警官と銃撃戦となった。人的被害はなかったものの,モール内はパニック状態に。

 

3.テロ・爆弾事件発生状況
(1)1月中旬,首都圏パサイ市のマニラ国際空港ターミナル管理事務所に爆破予告。国家警察が空港内を捜索するも爆発物は見つからず。
(2)1月中旬,ミンダナオ地方ブキドノン州バレンシア市郊外の日系企業果物工場がNPAに襲撃される。
(3)2月中旬,ルソン地方バタンガス州内のバスターミナルでNPAが路線バスなどを焼き討ち。
(4)2月下旬,首都圏マンダルーヨン市のバランガイ事務所前で手榴弾が爆発し,バランガイ関係者2名負傷。
(5)3月下旬,首都圏マニラ市トンド地区スモーキーマウンテンの警察派出所に手榴弾が投げ込まれ3名負傷。

 

4.誘拐・脅迫事件発生状況
主に実業家,資産家を狙った身代金目的の誘拐事件は,引き続きミンダナオ地方を中心にフィリピン国内で多く発生している。フィリピン国家警察は,2013年の1年間に比全国で約50件の誘拐事件が発生し,うち16件がミンダナオ地域で発生したと発表。約50件のうち4割がアブ・サヤフ・グループ(ASG)等の反政府武装組織による犯行である。
なお,在フィリピン日本国大使館では,サンボアンガ市においてASGが日本人を標的とした誘拐計画を立てているとの情報に接し,昨年5月,在留邦人に対して注意喚起を行っているほか,昨年12月に発生した邦人誘拐事件を受け,外務省海外安全ホームページにおいて渡航情報(スポット情報)を発出し,改めて注意喚起を行っており,引き続き十分な注意が必要である。
(1)1月下旬,首都圏マカティ市内で日系人女児が誘拐され,身代金を要求されるも犯人は逮捕され,女児は無事保護された。
(2)2月上旬,ミンダナオ地方タウイタウイ州内で地元の女性経営者がASGと見られる武装4人組に誘拐される。
(3)2月下旬,ミンダナオ地方スールー州ホロ町で公共事業を実施する政府職員がASGに拉致される(3時間後に解放)。
(4)3月上旬,マニラ首都圏で韓国人女性留学生がタクシーに乗車中,何者かに誘拐され,約1ヶ月後に遺体で発見される。
(5)3月中旬,ルソン地方パンパンガ州で医師1名が何者かに拉致される(7日後に解放)。

 

5.日本企業の安全に関する諸問題
当地においては,一般的に企業及び個人に対する恐喝,脅迫,誘拐等が少なくなく,日系企業(社員)に対する脅迫事件も発生するなど,進出日系企業関係者にとっては,企業自体及び社員の安全に関しては常時注意を要する。特に,NPAは,環境破壊,住民搾取等の名目で「革命税」を民間企業に要求し,企業側が応じない場合には,企業への脅迫,恐喝等の行為や襲撃するなどしていることから,現地採用職員の動向も含め,日頃から情報収集を行うなど十分な注意が必要である。


以上


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