ホーム - 領事関連情報

 

海外安全対策情報
(2014年10月~12月分)

在フィリピン日本国大使館

 

 

1.社会・治安情勢
 (1)一般治安情勢
 (ア)フィリピンにおいては引き続き強盗・窃盗事件や銃器を使った殺人事件が多発している。特にマニラ首都圏(マニラ市エルミタ地区・マラテ地区及びマカティ市など)においては強盗,窃盗事件が多発しており,邦人観光客が睡眠薬強盗やタクシー強盗などのほか窃盗・スリ被害に遭う事例が跡を絶たない。また,現職警官や偽警官などによる強盗,恐喝事件も発生しており,十分な注意が必要である。
 (イ)フィリピンにおいては銃規制の緩さから些細なことでも生死にかかわる事態に発展する危険性があることを十分認識し,特に夜間は歓楽街や人通りの少ない裏通りの一人歩きを避ける,万一被害に遭遇した際は無理な抵抗はせず冷静に対処する,口論や争いを避け他人の恨みを買わないよう言動に注意する,など慎重に行動する必要がある。
 (2)政治的安定度
2010年6月に就任したアキノ大統領は,国民からの高い支持率を背景に,汚職,腐敗の撲滅,治安強化及びミンダナオ和平推進を重要政策として掲げ,これまで安定的に政権を運営してきている。
 (3)反政府勢力の動き
 (ア)イスラム系反政府武装勢力
昨年3月,比政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)は包括和平合意に署名し,最終和平合意へ向けた移行作業が本格化しているが,モロ民族解放戦線ミスアリ派(MNLF-MG)やバンサモロ・イスラム自由戦士団(BIFF)等,政府とMILFの和平プロセスに不満を抱く反政府武装勢力がミンダナオ地方において国軍や警察等治安機関と衝突を繰り返しており,ミンダナオ地方の治安情勢については依然として不安定要素が大きい。その他,イスラム武装勢力アブ・サヤフ・グループ(ASG)も引き続き国軍等治安部隊との間で交戦しており,また,ミンダナオ西部地域等において資産家や外国人を誘拐するなど,これら反政府武装勢力の動きも予断を許さない状況にある。
また,これらのイスラム武装組織の中には,シリア・イラクにおいて活動するイスラム過激派組織「イラクとレバントのイスラム国(ISIL)」等と同盟を結んだと主張する組織(BIFF等)も存在し,今後,ISIL等に呼応し,外国人誘拐,テロ活動を活発化させる危険性があることから,十分な注意が必要である。
 (イ)共産系反政府武装勢力
フィリピン共産党(CPP)の武装組織である新人民軍(NPA)は,ミンダナオ地域,ルソン地域及びビサヤ地域の広い範囲で国軍や警察等治安機関と頻繁に交戦しており,また「革命税」の支払を拒否する企業への襲撃・恐喝,資金獲得の為の誘拐等を継続して行っている。昨年3月,フィリピン治安当局がフィリピン共産党(CPP)党首及び同幹部を逮捕したことなどにより,NPAが報復的ゲリラ活動を活発化させる虞もあることから,引き続き十分な注意が必要である。
 (4)対日感情
 概ね良好である。

 

2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)フィリピン国家警察が発表した犯罪統計によれば,2014年1月から12月の全国犯罪総認知件数は約116万件(対前年比約12%増)。重 大犯罪の主な内訳は以下のとおり。
 殺人 18,268件(うち殺人9,948件,傷害致死・過失致死8,320件)
 殺人未遂 232,685件
 強姦 10,294件
 強盗 52,798件
 窃盗・スリ・ひったくり 164,589件
 車両強盗 12,537件
(2)邦人被害事案
 (ア)10月~12月,首都圏マニラ市エルミタ地区のロビンソン・モール内及びその近辺で邦人観光客が置き引きやスリ被害に遭う事案が相次いで発生。
 (イ)10月~12月,首都圏マカティ市のリトル東京近辺からタクシーに乗車した邦人が拳銃やナイフで脅され金品を奪われるタクシー強盗被害が発生。またこの地域では子供に取り囲まれて現金等を抜き取られるスリ被害も発生。
 (ウ)10月中旬,首都圏ラスピニャス市で短期滞在の邦人男性が何者かに射殺される。
 (エ)10月下旬,首都圏ダギッグ市で在留邦人男性が帰宅途中に強盗に襲撃され,現金を奪われるとともに重傷を負った。
 (オ)11月上旬,首都圏マニラ市のリサール公園を観光していた邦人女性観光客が夫婦と称するフィリピン人男女2人組に声をかけられ,2人組及びその友人らと飲食を共にしたところ,意識を失い,所持品を盗まれる。
 (カ)12月上旬,ルソン地方カビテ州カウィット町で帰宅途中の邦人駐在員が武装グループに襲撃され,乗っていた車を強奪される。
(3)邦人以外の被害事案
 (ア)10月中旬,首都圏マカティ市の商業施設グロリエッタからタクシーに乗車した比人女性が車内でタクシー運転手から何らかの薬品をスプレーで噴射される。比人女性はタクシーから飛び降り打撲。
 (イ)10月中旬,午後11時頃,マニラ国際空港に到着した韓国人男性がタクシーに乗車したところ,助手席に乗っていた男にナイフで脅迫され,現金等を奪われる。
 (ウ)11月上旬,ルソン地方パンガシナン州で農場を経営する中国人男性が従業員から鉄パイプで殴られ死亡。
 (エ)11月上旬,午後,首都圏パサイ市で現金輸送中の比人男性が現職警官3名に襲撃され,現金120万ペソを奪われる。現職警官は後に逮捕。
 (オ)11月下旬,ビサヤ地方アクラン州のボラカイ島で韓国人男性が何者かに射殺される。
 (カ)12月中旬,首都圏マニラ市のイントラムロスを観光していた韓国人男女が睡眠薬強盗被害。暴行を受ける。
 (キ)12月下旬,午後10時頃,マニラ国際空港からタクシーに乗車したオランダ人男性がタクシー運転手から拳銃を突きつけられ,20万ペソ等の入った鞄を奪われる。

 

3.テロ・爆弾事件発生状況
 (1)10月上旬,午後10時頃,首都圏マニラ市トンド地区のマニラ首都圏警察第一分署で手榴弾が爆発し,警察官1名負傷。10月中旬にも同警察署に手榴弾が投擲される。
 (2)10月下旬,ルソン地方イサベラ州サンマリアノ町で早朝,パトロール中の国軍部隊とNPAが交戦し,NPA側1名死亡。
 (3)11月上旬,ルソン地方西ミンドロ州パルアン町の警察署がNPAに襲撃され,警察官3名死亡。
 (4)11月下旬,午前7時半頃,ミンダナオ地方コタバト州ムラン町の公共広場でBIFFが仕掛けたとみられるIEDが爆発し,3名死亡,22人負傷。
 (5)12月上旬,午前5時半頃,ミンダナオ地方ブキドノン州マラマグ町で路線バスに仕掛けられた爆弾が爆発し,乗客11名死亡,20名以上負傷。
 (6)12月下旬,ルソン地方マスバテ州マスバテ市でバイクに乗った男が商業銀行に手榴弾を投げ込み,警備員2名負傷。

 

4.誘拐・脅迫事件発生状況
主に実業家,資産家を狙った身代金目的の誘拐事件は,引き続きミンダナオ地方を中心にフィリピン国内で多く発生している。
ASGは,2014年4月にパラワン州において拘束したドイツ人2名について,同年10月,ソーシャルメディアを通じ,ドイツ政府に対して身代金の支払い及び米国によるISIL攻撃への支持撤回を要求,期限までに応じなければ殺害すると警告した。その後ドイツ人2名は期限ギリギリに無事解放されたが,上述のとおり,今後,ASGなどのイスラム過激派がISILに呼応し,外国人誘拐,テロ活動を活発化させる危険性があるとともに,ISILに便乗し同様の手法で脅迫する可能性が考えられることから,十分な注意が必要である。
 (1)10月上旬,ルソン地方リサール州タナイ町で退役軍人の比人男性がNPA約10人に拉致される。
 (2)10月中旬,マレーシア・サバ州において何者かに拉致され行方不明となっていたイタリア人実業家が船でミンダナオ地方サンボアンガ市に上陸した可能性が指摘される。
 (3)11月中旬,午後3時頃,マニラ首都圏タギッグ市で女子学生が何者かに拉致されそうになったが,脱出して無事。
 (4)12月上旬,ミンダナオ地方北ダバオ州で,NPAとみられる武装集団が日系バナナ農園に侵入し,警備に当たっていた国軍兵2名を拉致して逃走。
 (5)12月上旬,ミンダナオ地方スールー州インダナン町で学校から帰宅途中の男子生徒がASGに拉致される。

 

5.日本企業の安全に関する諸問題
当地においては,一般的に企業及び個人に対する恐喝,脅迫,誘拐等が少なくなく,日系企業(社員)に対する脅迫事件も発生するなど,進出日系企業関係者は,企業自体及び社員の安全に関し常時注意を要する。特に,NPAは,環境破壊,住民搾取等の名目で「革命税」を民間企業に要求し,企業側が応じない場合には,企業への脅迫,恐喝等の行為や襲撃等を繰り返していることから,現地採用職員の動向も含め,日頃から情報収集を行うなど十分な注意が必要である。

 


以上

 


| 法的事項 | アクセシビリティについて | プライバシーポリシー |

Copyright (C): 2015在フィリピン日本国大使館