このプロジェクトは、フィリピンで最も貧しい地域の一つであるミンダナオ島で実施されました。プロジェクトの目的は、ミ
ンダナオ島中部地域に灌漑施設を建設し、地域の農業生産性を向上させ、地域農民の生活向上を目指すというもの
です。
一方、ミンダナオ島では1970年代から反政府イスラム勢力の活動が活発であり、長期にわたって治安が不安定な状
態にあります。このプロジェクトにおいても治安問題が牽引で数度にわたる工期の延期を余儀なくされました。
しかし、関係者の不断の努力によりプロジェクトは着実に前進し、ついに2003年秋に完了しました。このプロジェクトに
より、雨期だけでなく乾期にも稲作が可能になり、フィリピン国家灌漑庁によると地域の農業生産性は3倍に増加しまし
た。
また、フィリピン政府と反政府イスラム勢力の間での和平に向けた話し合いは続いていますが、これまでに195人の兵
士がプロジェクト地域での新たな農業に希望を見出し、武装解除し農民として帰還したということです。
このようにこのプロジェクトは、クリスチャン、ムスリム双方合わせて約4500人の地
域の農民の生活の向上に寄与した
だけでなく、地域の治安状況の改善にも貢献するなど、平和構築の観点からも大きく評価されています。アロヨ大統領
は、このプロジェクトを「中部ミンダナオの平和と開発のショーケース」と意義付けています。
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