【領事班からのお知らせ】ジカウイルス感染症に関する感染症危険情報の取り下げ,及び感染症広域情報の発出
平成28年11月23日
【ポイント】 | ||
● | 世界保健機関(WHO)が、ジカウイルスと小頭症及び神経障害に関する第5回緊急委員会を開催し、ジカウイルス流行地域 | |
における小頭症及び神経障害の集団発生について「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC, Public Health Emergency of International Concern)」の終了を宣言しました。 | ||
● | WHOによるPHEICの終了宣言を受け、外務省は、2016年2月2日以降発出を継続してきた感染症危険情報を取り下 | |
げました。一方で、ジカウイルスは、妊娠中に感染すると胎児に小頭症等の先天性障害を引き起こす可能性があり、発生国・地域に渡航・滞在する際には、厳重な防蚊対策を講じるなど引き続き注意が必要です。 | ||
● | 特に妊娠中又は妊娠予定の方は、可能な限り発生国への渡航をお控えください。やむを得ず渡航する場合、既に現地に滞在 | |
している場合は、防蚊対策に努めるとともに、性行為感染のリスクも考慮し、パートナーとともに、症状の有無にかかわらず、コンドームを使用する、性行為を控えるなど、必要な対策を講じることをおすすめします。 | ||
● | 最近では新たに、パラオ及びカリブ海の英領モントセラトでも発生が確認されました。 | |
1. | 世界保健機関(WHO)による緊急事態宣言(PHEIC)の終了 | |
(1) | 2016年11月18日、WHOは、ジカウイルスと小頭症及び神経障害に関する国際保健規則(IHR) | |
緊急委員会の第5回会合を開催し、同年2月1日に発出した、ジカウイルス感染症の流行地域における小頭症及び神経障害の集団発生に関する「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC, Public Health Emergency of International Concern)」を終了することを宣言しました。ジカウイルスについては、小頭症との関連性が科学的に証明されるなど、研究によって、当初分からなかった多くのことが解明されてきたことを考慮し、引き続き公衆衛生上の対策は必要であるが、もはやPHEICには該当しないとの見解を示しました。 | ||
(2) | WHOによるPHEICの終了を踏まえ、外務省では、2016年2月2日以降発出を継続してきた感染症危険情報 | |
を取り下げました。一方で、ジカウイルス感染症は、現在も以下2.の国や地域で発生しており、これらの国・地域に渡航・滞在する際には、渡航先の在外公館等から最新の関連情報を入手するとともに、以下3.も参考に十分な感染予防に努めてください。なお、ジカウイルスは、妊娠中に感染すると胎児に小頭症等の先天性障害を引き起こす可能性があることから、妊娠中又は妊娠予定の方のジカウイルス感染症の発生国・地域への渡航・滞在は可能な限りお控えください。 | ||
2. | ジカウイルス感染症の発生状況 | |
WHO等によれば、2015年5月以降、以下の国・地域でジカウイルス感染症の感染例が報告されています。最近では、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム及びマレーシアにおいて流行地域への渡航歴のない人にジカウイルス感染が確認されるなど、東南アジア地域でも感染が広がっています。 ○中南米地域 アルゼンチン、アンティグア・バーブーダ、バルバドス、ベリーズ、ボリビア、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、キューバ、ドミニカ共和国、ドミニカ、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、グレナダ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、メキシコ、ニカラグア、パナマ、バハマ、パラグアイ、セントビンセントグレナディーン諸島、セントルシア、セントクリストファー・ネーヴィス、スリナム、トリニダード・トバゴ、ベネズエラ、ペルー、英領(アンギラ、タークス・カイコス諸島、ケイマン諸島、バージン諸島、モントセラト)、フランス領(グアドループ、サン・マルタン、ギアナ、マルティニーク及びサン・バルテルミー島)、オランダ領(アルバ、ボネール、キュラソー、シント・マールテン、シント・ユースタティウス島及びサバ島)、米領(バージン諸島及びプエルトリコ) ○アジア・大洋州地域 インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、モルディブ、米領サモア、マーシャル、サモア、トンガ、パプアニューギニア、パラオ、フランス領(ニューカレドニア)、フィジー、ミクロネシア(コスラエ州) ○アフリカ地域 カーボヴェルデ、ギニアビサウ ○北米地域 米国フロリダ州の一部地域 |
||
3. | ジカウイルス感染症について | |
(1) | 感染経路 | |
ジカウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染します。感染した人を蚊が刺すと、蚊の体内でウイルスが増殖し、その蚊に他の人が刺されると感染する可能性があります。また、母胎から胎児への感染(母子感染)、輸血や性交渉による感染リスクも指摘されています。こうしたリスクを考慮し、流行地域に滞在中は、症状の有無にかかわらず、性行為の際にコンドームを使用するか、性行為を控えるようご注意ください。また、流行地域から帰国した男女は、症状の有無にかかわらず、最低6か月間、パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中、性行為の際にコンドームを使用するか、性行為を控えるようにしてください。なお、性行為による感染は、男性から女性パートナーのみならず、女性から男性パートナーへの感染例も報告されています。 | ||
(2) | 症状 | |
ジカウイルスに感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は2~12日であり、主に2~7日で、およそ2割の人に発症すると言われています。発症すると軽度の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、斑丘疹、疲労感、倦怠感などを呈しますが、一般的にデング熱やチクングニア熱より軽症と言われています。 | ||
(3) | 治療方法 | |
現在、ジカウイルス感染症には有効なワクチンや特異的な治療法はなく、対症療法が行われます。ジカウイルス感染症が流行している地域で蚊に刺された後に発熱が続く、または発疹が出るなど、ジカウイルス感染症を疑う症状が現れた場合には、医療機関への受診をお勧めします。 | ||
(4) | 予防 | |
ジカウイルス感染症には有効なワクチンもなく、蚊に刺されないようにすることが最善の予防方法です。これらの感染症の発生地域に旅行を予定されている方は、次の点に十分注意の上、感染予防に努めてください。また、症状の有無にかかわらず、帰国後少なくとも2週間程度は忌避剤を使用し、蚊に刺されないための対策を行ってください。 | ||
● | 外出する際には長袖シャツ・長ズボンなどの着用により肌の露出を少なくし、肌の露出した部分や衣服に昆虫忌避剤(虫 | |
除けスプレー等)を2~3時間おきに塗布する。昆虫忌避剤は、ディート(DEET)やイカリジン等の有効成分のうちの1つを含むものを、商品毎の用法・用量や使用上の注意を守って適切に使用する。一般的に、有効成分の濃度が高いほど、蚊の吸血に対する効果が長く持続すると言われている。 | ||
● | 室内においても、電気蚊取り器、蚊取り線香や殺虫剤、蚊帳(かや)等を効果的に使用する。 | |
● | 規則正しい生活と十分な睡眠、栄養をとることで抵抗力をつける。 | |
● | 軽度の発熱や頭痛、関節痛や結膜炎、発疹等が現れた場合には、ジカウイルス感染症を疑って、直ちに専門医師の診 | |
断を受ける。 | ||
● | 蚊の繁殖を防ぐために、タイヤ、バケツ、おもちゃ、ペットの餌皿等を屋外放置しない、植木の水受け等には砂を | |
入れるなどの対策をとる。 | ||
4. | 発生地域からの帰国時・帰国後の対応(日本国内の検疫について) | |
蚊に刺され心配な方や発熱等の症状のある方は、帰国された際に、空港の検疫所でご相談ください。 また、帰国後に心配なことがある場合は、最寄りの保健所等にご相談ください。なお、発熱などの症状がある場合には、医療機関を受診してください。 |
||
(参考情報) | ||
○ | 厚生労働省HP(ジカウイルス感染症について) | |
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109881.html | ||
○ | 世界保健機関(WHO):Microcephaly/Zika virus(英文) | |
http://www.who.int/emergencies/zika-virus/en/ | ||
(問い合わせ窓口) | ||
○ | 外務省領事サービスセンター | |
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1 電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903 |
||
(外務省関連課室連絡先) | ||
○ | 外務省領事局政策課(海外医療情報) | |
電話:(代表)03-3580-3311(内線)5367 | ||
○ | 外務省海外安全ホームページ | |
http://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版) http://www.anzen.mofa.go.jp/sp/index.html (スマートフォン版) http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (モバイル版) |
||
(現地大使館連絡先) | ||
○ | 在フィリピン日本国大使館 | |
電話:551-5710 国外からは:(国番号63)2-551-5710 ホームページ:https://www.ph.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html |
||
○ | 在セブ領事事務所 | |
電話:231-7321、231-7322 国外からは:(国番号63)32-231-7321、32-231-7322 ホームページ:https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000137.html |
||
○ | 在ダバオ領事事務所 | |
電話:221-3100 国外からは:(国番号63)221-3100 ホームページ:https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000138.html |