草の根・人間の安全保障無償資金協力「マギンダナオ州コタバト市アル・アザイレ小中学校における教室整備計画」引渡式



3月13日,マギンダナオ州コタバト市において,草の根・人間の安全保障無償資金協力事業として実施された「マギンダナオ州コタバト市アル・アザイレ小中学校における教室整備計画」の引渡式が開催され,当館より川本書記官,小林書記官が出席しました。同式典には,被供与団体であるアル・アマナ人道・開発サービス,バンサモロ開発庁,そしてアル・アザイレ小中学校関係者が出席しました。
アル・アザイレ小中学校は,生徒数の増加により,教室が過密状態となっており,十分な教室の確保が課題となっていました。同校の自己資金により,仮設教室が建設されたものの,非常に簡素な作りで,屋根が崩落する危険があるほか,雨季には雨水が屋内に浸入したりするなど,生徒に適切な学習環境を提供できていませんでした。
本事業は,J-BIRD(注)の一環として,仮設教室を取り壊し,新たに2階建ての校舎1棟6教室及び机・椅子などの備品を整備するものであり,2016年に同校に対して101,494米ドル(およそ1,100万円)を供与しました。本事業を通じて,およそ1200名のアル・アザイレ小中学校の生徒に対して,安全で快適な学習環境が提供されます。
草の根・人間安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり,我が国はフィリピンのトップドナーとして,1989年から現在に至るまでの間に,計533件の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来積極的に取り組んでおり,本件事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
注)我が国は、2006年よりミンダナオ和平支援案件をJ-BIRD (Japan-Bangsamoro Initiative for Reconstruction and Development)と総称し、元紛争地域に対する草の根・人間の安全保障無償資金協力など経済協力プロジェクトを集中的に実施しており、その総額はこれまで2億ドル以上になります。2015年6月には、アキノ前大統領の国賓訪日の際の日比首脳会談において、安倍総理大臣は、ミンダナオの永続的な和平について、フィリピンの取組への支持を表明するとともに、我が国は新自治政府設立を念頭にJ-BIRDIIの支援を進める旨述べました。J-BIRDIIとは、バンサモロ地域の経済的自立の確保に一層焦点を当ててJ-BIRDを新たなフェーズで進めるものです。