平成30年度草の根・人間の安全保障無償資金協力合同贈与契約署名式(5件)

  
 
  3月22日,羽田浩二駐フィリピン大使は,在フィリピン日本国大使館において,今年度の草の根・人間の安全保障無償資金協力(注1)5案件について,各被供与団体との間で,贈与契約に署名しました。署名式には,教育省サルバドール・マラナ次官補他関係者が出席しました。
 
  今回署名が行なわれた5案件の総額は791,278米ドル(約8,800万円)であり,学校教室,診療所,医療機材,農業機械の整備に充てられます。


1.『マギンダナオ州マタノグ町バヤンガ・ノルテ小学校における教室整備計画』
・被供与団体:マタノグ町
・資金供与額:169,645米ドル
 
 マタノグ町のバヤンガ・ノルテ小学校は,建物や設備の老朽化が激しいこと及び,毎日の通学に3時間半から5時間かかっている子どもも多く,児童の居住区から学校までの距離が遠いことが課題となっています。本事業は,J-BIRD(注2)の一環として,より児童の居住区に近い新たな小学校建設地に2校舎7教室及び関連備品を整備するものであり,通学時間を45分以内にすることを可能とし,同校児童307名に対する教育サービスの向上が期待されます。
 
 
 
 
2.『マラウィ市ダトゥ・サベール小学校における教室整備計画』
・被供与団体:マラウィ市
・資金供与額:341,179米ドル
 
 マラウィ市のダトゥ・サベール小学校は,同地での紛争の影響により全教室が被害を受け,教室設備の破損が激しいこと及び,児童が教育省の基準を下回る狭い教室での学習を強いられていることが同校の課題となっています。本事業は,J-BIRDの一環として,1校舎7教室及び関連備品を整備するものであり,同校児童250名に対し安全で適切な学習環境を整備することができます。また,マラウィ市で起こった紛争からの早期復興が期待されます。
 
 
 

3.『オーロラ州ディンガラン町における診療所改修及び医療機材整備計画』
・被供与団体:ディンガラン町
・資金供与額:109,567米ドル
 
 ディンガラン町立診療所は,診療設備や医療機材の不備により,住民に適切な医療サービスを提供できていないことが課題となっています。本件事業を通し,新生児保育器や全血分析機などの機材整備及び施設自体の改修を行うことにより,年間約650人の分娩が必要な妊婦を含む約5,000人の住民が,安全で適切な医療サービスを受けられるようになります。
 
 
 

4.『バタンガス州バレテ町における医療機器整備計画』
・被供与団体:バレテ町
・資金供与額:98,880米ドル
 
  バレテ町立診療所は,臨床検査で必要とされる血液分析装置が手動であること及び超音波検査器がないことから,同町の住民に十分な医療サービスが提供できていないことが課題となっています。本件事業を通し,医療機材を整備することにより,年間約1,400人の血液分析が必要な患者及び年間約100人前後の超音波検査が必要な患者を含む,バレテ町住民約22,610人が,基礎的医療サービスを受けられるようになります。

 
 
 

5.『西ミンドロ州カリンタアン町における農業機材及び農業設備整備計画』
・被供与団体:カリンタアン町
・資金供与額:72,007米ドル
 
 カリタアン町では,多くの住民が農業に生計を頼っているものの,農業機材が整備されていないことによりコメとトウモロコシの収穫後乾燥処理が効率的に行われず,毎年収穫量の10%近くを損失していることが課題となっています。本件事業を通し,穀物乾燥機や関連設備を整備することにより,農作物の適切な乾燥と保管による品質の向上が実現し,農家の収入増加による生計の向上に繋がることが期待されます。

 
 
 

※1 草の根・人間安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり,フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に,計543件の事業を実施しています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来積極的に取り組んでおり,本件事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
 
※2 我が国は,2006年よりミンダナオ和平支援案件をJ-BIRD (Japan-Bangsamoro Initiative for Reconstruction and Development)と総称し,元紛争地域に対する草の根・人間の安全保障無償資金協力など経済協力プロジェクトを集中的に実施しており,その総額はこれまで200億円以上になります。2015年6月,アキノ元大統領の国賓訪日の際の日比首脳会談において,安倍総理大臣は,ミンダナオの永続的な和平について,フィリピンの取組への支持を表明するとともに,我が国は新自治政府設立を念頭にJ-BIRDIIの支援を進める旨述べました。J-BIRDIIとは,バンサモロ地域の経済的自立の確保に一層焦点を当ててJ-BIRDを新たなフェーズで進めるものです。