草の根・人間の安全保障無償資金協力 「オロンガポ市携帯型胸部レントゲン装置整備計画」引渡式

令和6年8月1日

8月1日、ザンバレス州オロンガポ市において、令和5年度草の根・人間の安全保障無償資金協力事業として実施された「オロンガポ市携帯型胸部レントゲン装置整備計画」の引渡式が開催され、当館より西村時子二等書記官が出席しました。同式典には、被供与団体であるフィリピン保健ソリューション変革センター(以下、CHSI)よりカーミナ・アキノ代表、オロンガポ市よりロレン・ポウリノ市長、同市保健局関係者、アエタ族代表者、及び富士フィルムフィリピンより宮子隆氏が出席しました。
 

ザンバレス州オロンガポ市では、2020年以降の新型コロナウイルスによる移動制限に伴い、結核検診数が激減し、治療と予防の両面において結核対策に支障をきたしていました。特に、同市山間部に住む先住民族であるアエタの人々は、経済格差や交通の不便さにより医療サポートを十分に受けられない状況にあることから、罹患率の上昇が危惧されていました。そのため同市保健局は、車両での通行が困難な山間部にも持ち運びが可能な携帯型レントゲン装置の導入を目指し、NGOとして保健事業分野で活動するCHSIを通して当館へ支援を要請するに至りました。
 
本事業では、87,756米ドル(約1,202万円)1をCHSIに供与し、CHSIが支援するオロンガポ市保健局へ携帯型レントゲン装置(富士フイルム株式会社製)1台を整備しました。同保健局はこれにより、結核感染ハイリスク・グループに属するアエタの人々及び都市部貧困層を対象とした積極的な巡回検診をはじめとする結核対策、並びにその他関連疾患対策を含む包括的な医療サービスの提供が可能となります。
 
本年は、日本がODAを開始してから70年の節目に当たります。「人間の安全保障」の理念に基づき1989年に開始された草の根・人間安全保障無償資金協力において、我が国はこれまでフィリピンのトップドナーとして計562件の事業を実施してきました。我が国はこうした草の根レベルの支援についても積極的に取り組んできており、本事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
 
注1)1ドル=137円(令和5年度支出官レート)