草の根・人間の安全保障無償資金協力 「北イロコス州小規模農家のための農作物運搬用冷蔵車整備計画」引渡式

令和6年12月18日


12月17日、北イロコス州ラオアグ市において、令和5年度草の根・人間の安全保障無償資金協力事業として実施された「北イロコス州小規模農家のための農作物運搬用冷蔵車整備計画」の引渡式が開催され、当館より西村時子二等書記官が出席しました。同式典には、北イロコス州よりマシュー・マルコス・マノトック州知事、セシリア・アラネタ・マルコス副州知事、被供与団体であるバカラ多目的協同組合よりプリムローズ・マングラル・ラン理事、及び農家代表者が出席しました。

北イロコス州の小規模農家の多くは収穫した農作物を自力で市場まで運搬する手段を持たないため、仲介業者を通じて出荷せざるを得ませんでした。仲介業者から請求される運搬料や仲介料は割高である上に、業者の多くは運搬時に適切な衛生・温度管理を行っていないため、流通過程での品質劣化や廃棄などによる損失が発生し、農家の経済的負担となっていました。そのためバカラ多目的協同組合は、品質を維持したまま長距離輸送を可能とする冷蔵車の導入を目指し、当館へ支援を要請するに至りました。
 

本事業では、46,244米ドル(約633万円)注1を同協同組合に供与し、農作物運搬用冷蔵車を整備しました。これにより同協同組合は、小規模農家のフード・バリューチェーンへのアクセスを改善することができ、農家の販路拡大と収益力向上を目指すことが可能となります。

本年は、日本がODAを開始してから70年の節目に当たります。「人間の安全保障」の理念に基づき1989年に開始された草の根・人間安全保障無償資金協力において、我が国はこれまでフィリピンのトップドナーとして計562件の事業を実施してきました。我が国はこうした草の根レベルの支援についても積極的に取り組んできており、本事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。

注1)1ドル=137円(令和5年度支出官レート)