令和6年度前後期草の根・人間の安全保障無償資金協力合同贈与契約署名式

令和7年1月24日

1月23日、遠藤和也駐フィリピン大使は、今年度新たに承認された草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下、GGP)*12案件、供与金額合計138,828米ドル(約1千9百万円*2)について、各被供与団体と贈与契約書に署名しました。式典には、保健省(DOH)のエルマー・G・プンザラン次官と社会福祉開発省(DSWD)のモニーナ・ジョセフィナ・ロムアルデス氏、その他政府・自治体関係者が出席した。
 
遠藤大使はスピーチの中で、GGPは地域社会の具体的なニーズに対応でき、持続可能な発展の促進に寄与できるスキームであること、また、長年にわたり当館がGGPの被供与団体と構築してきた協力関係は、揺るぎない日比関係の証の一つであることを述べました。 


署名された各案件の概要は以下の通りです。
 
「モンテンルパ市携帯型胸部レントゲン装置整備計画
  • 被供与団体: モンテンルパ市
  • 供与資金額: 83,529米ドル
  • 案件概要: モンテンルパ市には、高齢者介護施設、虐待被害者保護施設、発達障がい者施設が複数所在していますが、通院が困難であることや免疫力が低いことから結核感染のリスクが高く検診強化を奨励される人々(以下、「ハイリスク・グループ」)が多く在籍しています。しかし同市は、このような施設に対する積極的な訪問検診に必要な携帯型レントゲン装置を保有していないため、結核感染対策に支障を来しています。本案件では、同市に携帯型胸部レントゲン装置1台を整備することで、結核感染ハイリスク・グループを対象とした訪問検診体制を強化し、もって同市の医療サービスを向上・拡大を目的とします。
 
「リサール州カインタ町障がい者生計改善のための機材整備計画」
  • 被供与団体: タハナング・ワラング・ハグダナン
  • 供与資金額: 55,299米ドル
  • 案件概要: タハナング・ワラング・ハグダナン(以下「TWH」)が約272名の障がい者及びその家族に対し実施している生計支援プログラムは、金属加工、木工加工、裁縫、及び包装作業の雇用機会を提供しています。しかし、使用されている機材の多くは型式が古く老朽化しているため、生産性が低い上に現代のニーズにあった繊細な加工や特殊な刺繍に対応できず、失注の要因となっています。本案件では、生計向上支援プログラム用の機材一式(7機種10台)を整備することにより、障がい者及びその家族の作業環境の改善を図り、もって障がい者の雇用機会拡充及び経済的自立に寄与します。

*1 草の根・人間の安全保障無償資金協力は、「人間の安全保障」の理念に基づき、開発途上国における経済社会開発を目的とし、地域住民に直接裨益する、比較的小規模な事業のために必要な資金を供与するものです。フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に計566件(上記2件を含む)の事業を実施しています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来積極的に取り組んでおり、本件実施は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
 
 *2 1米ドル=139円(令和6年度支出官レート)