草の根・人間の安全保障無償資金協力 「バタンガス州バレテ町における医療機器整備計画」引渡式
令和3年12月3日



12月3日,バタンガス州バレテ町において,草の根・人間の安全保障無償資金協力事業として実施された「バタンガス州バレテ町における医療機器整備計画」の引渡式が開催され,当館より山田三等書記官が出席しました。同式典には、ウィルソン・マラリット町長、アルビン・パヨ副町長、その他町役場関係者、診療所関係者が出席しました。
バレテ町立診療所は,人口約2.4万人(2020年現在)の同町唯一の町立医療施設であり,毎年6,000人弱の患者が外来診療を受けています。しかしながら従来診療所が保有していた血液分析装置は手動式であり,自動式よりも処理に時間を要することから、糖尿病・高血圧症・狭心症といった疾患のために血液検査を必要としている患者のうち約3割にしか検査サービスを提供できていない状況でした。それに加え、同診療所は超音波検査器を保有しておらず、同町の妊婦は検診のために隣町の病院までの道のり(片道約1時間)を定期的に通わなければならない状況でした。
本問題の解決のため,本事業では血液自動分析装置及び超音波検査装置の整備のために98,880米ドル(11,074,5600円)注1をバレテ町に供与しました。本事業によって,年間約1,400人の血液分析が必要な患者及び年間約100人前後の超音波検査が必要な妊婦に対して安全で適切な医療環境が提供され、それによって同地域における医療アクセスが改善されます。
草の根・人間安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり,我が国はフィリピンのトップドナーとして,1989年から現在に至るまでの間に,計548件の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来積極的に取り組んでおり,本件事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
注1)1ドル=112円(平成30年度レート)