草の根・人間の安全保障無償資金協力 「南コタバト州タンパーカン町における職業訓練施設整備計画」引渡式

令和4年7月21日


 

7月20日、南コタバト州タンパーカン町において、平成30年度草の根・人間の安全保障無償資金協力事業として実施された「南コタバト州タンパーカン町における職業訓練施設整備計画」の引渡式が開催され、在ダバオ総領事館より石川義久総領事及び三橋副領事、また当館より山田三等書記官が出席しました。同式典には、エスコビーリョタンパーカン町長、タンパーカン町役場関係者及び研修施設関係者が出席しました。
 
タンパーカン町では職業訓練設備の数が不足しており、同町は状況を改善すべく自己資金による職業訓練施設の増強などを行ってきましたが、人口が増加し続けている同町の状況には追いつかず、平成27年における同町の失業率はフィリピン全体の3倍にも達していました。
 
本問題の解決のため、本事業ではJ-BIRD注1の一環として、職業訓練施設を拡充することを目的に80,485米ドル(約900万円)注2をタンパーカン町に供与しました。本事業により、年間約260人が適切な環境での職業訓練を受講できるようになり、それによって就業につながる技術を確実に身につけることが期待されています。
 
草の根・人間の安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、我が国はフィリピンのトップドナーとして、1989年から現在に至るまでの間に、計553件の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来積極的に取り組んでおり、本事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。

注1)我が国は、2006年よりミンダナオ和平支援案件をJ-BIRD (Japan-Bangsamoro Initiative for Reconstruction and Development)と総称し、紛争影響地域に対する草の根・人間の安全保障無償資金協力など経済協力プロジェクトを集中的に実施しており、その総額はこれまで2億ドル以上になります。2015年6月には、アキノ前大統領の国賓訪日の際の日比首脳会談において、安倍総理大臣は、ミンダナオの永続的な和平について、フィリピンの取組への支持を表明するとともに、我が国は新自治政府設立を念頭にJ-BIRDIIの支援を進める旨述べました。J-BIRD IIとは、バンサモロ地域の経済的自立の確保に一層焦点を当ててJ-BIRDを新たなフェーズで進めるものです。
 
注2)1ドル=112円(平成30年度支出官レート)