令和4年度草の根・人間の安全保障無償資金協力合同贈与契約署名式
令和5年3月16日


越川大使は式典中のスピーチにおいて、日本はフィリピンのパートナーとして、住民よりよい生活のために今後も協力していく考えである旨、また同資金協力は小規模でありながらも地域社会の具体的なニーズへ対応することが可能な、重要なスキームである旨を述べました。
4案件の概要は以下の通りです。
1. 「ネグロスオキシデンタル州イロッグ町におけるイロッグ初等学校整備計画」
- 被供与団体: イロッグ町
- 供与資金額: 247,228米ドル
- 案件概要: イロッグ初等学校では老朽化による劣化から多くの教室が安全でない状態にあり、また同校は受け入れ児童数が多いことから、仮設教室や敷地内の屋外ステージも教室として使用せざるを得ない状況にあります。本案件では、新たに校舎1棟6教室を整備することで、児童215名が安全かつ適切な環境下で学習することが可能となります。また、災害時には一時避難所として学校周辺に住む住民約200名が直接裨益します。
2. 「カマリネススル州ボンボン町農作物加工処理技術研修センター整備計画」
- 被供与団体: フィリピン・シェル財団
- 供与資金額: 62,247米ドル
- 案件概要: カマリネススル州の住民の多くは農業収入に生計を頼っていますが、農産物の売価は低く、同州の農家の平均世帯年収は全国世帯年収を大きく下回っています。被供与団体は同州農家の貧困削減を目的とした生産環境の改善に取り組んできましたが、農業従事者の収穫物加工能力は依然として低く、収入も低いままです。本案件は、新たに農作物加工処理技術研修センター及び研修用機材を整備することで、同州10町の農業従事者の加工技術取得を支援し、よって同州農産物の高付加価値化と農家の所得向上に寄与します。


3. 「バタンガス州リパ町ストリートチルドレン保護センター送迎用車両整備計画」
- 被供与団体: サーネリ・ストリートチルドレン保護センター
- 供与資金額: 16,591米ドル
- 案件概要:被供与団体は、路上生活を送っている子供達を保護し、衣食住、通学補助、カウンセリング、家族との再統合、養子縁組の斡旋など、安全で健全な居場所と生活の提供を行なっています。本案件は、送迎用車両1台を整備することで、通学、家庭統合・社会復帰に必要なカウンセリングの受講や通院等に必要な送迎の円滑な実施を可能とし、施設で生活する子供達が安全で健康に成長できる生活の確保に寄与します。


4. 「バタンガス州ロザリオ町マバト村における浄水設備整備計画」
- 被供与団体: ゴールデン・ホイール・アワード財団
- 供与資金額: 105,380米ドル
- 案件概要:マバト町マバト初等学校及び周辺の深井戸からは健康被害を及ぼす菌等が多く検出されており、飲用に適した水質とは言えない状況にあります。本案件では、マバト初等学校の敷地内に浄水機1台を設置することにより、同校の児童約270名及びその家族が浄化された飲用可能な水に容易にアクセスすることができ、衛生環境の向上が見込まれます。さらに、災害時には浄水機をマバト村住民に広く開放することで、住民約2,200名が安全な水を利用することが可能となります。


*1 草の根・人間の安全保障無償資金協力「人間の安全保障」の確保に資するものであり、フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に計557件(上記4件を含む)の事業を実施しています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来積極的に取り組んでおり、本件実施は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
*2 1米ドル=108円(令和4年度支出官レート)