草の根・人間の安全保障無償資金協力 「ラグナ州、リサール州、アンティーケ州における小農民のための農作物運搬車整備計画」引渡式

令和5年6月15日
 

6月15日、リサール州ピリリャ町において、令和3度草の根・人間の安全保障無償資金協力事業として実施された「ラグナ州、リサール州、アンティーケ州における小農民のための農作物運搬車整備計画」の引渡式が開催され、当館より西村時子二等書記官が出席しました。同式典には、被供与団体であるNGOアホン・サ・ヒラップ(Ahon sa Hirap, Inc、以下ASHI)よりメルセデス・アバド代表及び関係者、並びに当該地域の小規模農家代表者が出席しました。

  

ASH Iが支援する野菜農家の多くは、農作物を自力で市場まで輸送する手段を持っておらず、価格交渉力も無いことから、仲介業者に割高な仲介料や輸送料を請求される場合が多くありました。加えて、多くの仲介業者は出荷過程において適切な衛生管理や温度管理を行っていないことによる品質劣化やフードロスの発生も課題でした。
 
 
 
これらの課題を解決するため、本事業では90,231米ドル(約974万円)注1をASHIに供与し、同団体が支援するラグナ州、リサール州、アンティーケ州の小規模農家クラスター向けに、農作物の運搬用冷蔵車3台を整備しました。本事業によって、適切な衛生管理および温度管理のもと、仲介業者を介することなく農作物を市場へ出荷できるようになり、フードロスの削減および当該地域の小規模農家約5,000名の生計向上が期待されます。
 
草の根・人間安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、我が国はフィリピンのトップドナーとして、1989年から現在に至るまでの間に、計557件の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来積極的に取り組んでおり、本件事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
 
注1)1米ドル=108円/令和3年度支出官レート