令和5年度後期草の根・人間の安全保障無償資金協力合同贈与契約署名式
令和6年2月6日



マニラ首都圏に存在する白内障患者約14万6千人のうち、手術を必要とする病状にありながら治療を受けていない患者が約5万人いると推定されており、その多くは貧困層に属します。これらの患者が治療を受けられないまま失明に至った場合、患者及び家族の生活の質の低下や社会的孤立、失明を原因とする失業、ひいては子供の退学や子供による労働等、更なる問題を抱えることとなります。
本案件は「アジアのノーベル賞」とも呼ばれるラモン・マグサイサイ賞を2022年に受賞した服部匡志医師の提案により実現したものです。1997年に同じく同賞を受賞したシスター・エバ・フィデラ・マアモが設立した聖母平和病院眼科センターに超音波乳化吸引装置1台及び眼科手術用顕微鏡1台を整備することにより、低所得層患者の失明防止及び眼科医療の質の向上を目指します。
越川大使は式典中のスピーチにおいて、同資金協力を通じた草の根レベルでの取り組みの重要性を強調しつつ、フィリピンの戦略的かつ献身的なパートナーとして、持続可能で包括的な発展のために今後も協力していく考えである旨を述べました。
また、本式典にはラモン・マグサイサイ賞財団のセシリア・ラザロ理事会会長が出席したほか、服部匡志医師から祝辞が届きました。




*1 草の根・人間の安全保障無償資金協力「人間の安全保障」の確保に資するものであり、フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に計561件(上記案件を含む)の事業を実施しています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来積極的に取り組んでおり、本件実施は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
*2 1米ドル=137円(令和5年度支出官レート)